【御礼とハイライト】「タニモク」ラボ 第9回meetupのテーマは「企業研修への導入ステップと事例紹介」
こんにちは! 「タニモク」事務局です。
“社員のキャリアオーナーシップの向上”をテーマに、キャリア対話の機会づくりとプログラム開発を行う共同研究の場としてスタートした「タニモク」ラボは、2024年3月に設立1周年を迎えました。今後も「Giver精神をもってGiveし合おう」「ラボ内の秘密を守る」「行動しよう(みんなでラボろう)」を大切に活動を続けていきます!
2024年2月14日(水)に第9回「meetup」が開催されましたので、今回はそのイベントの様子をレポートします。
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第1回、第2回、第3回、第4回、第5回、第6回、第7回、第8回
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当日(2/14)のハイライト
ラボ会員同士の交流とナレッジ交換を目的とした「meetup」イベントは、会員のみなさんが参加しやすいよう「イベント時は出入り自由」「聴くだけOK」で開催しています。また、これまではお昼休みに合わせて「12時~13時」に設定していましたが、今回はお試しで夜の「19時~20時」に開催してみました。
第9回meetupのハイライトは2つです。
1:企業研修への導入ステップ
2:導入事例の紹介
1:では、企業研修に「タニモク」を導入するためのステップを、「タニモク」プロジェクトオーナー 兼 ラボ長の三石さんがお話ししました。ラボ会員さんからの「オンボーディングプログラムを考えてきました」というお土産もあり、非常に盛り上がりました。
2:では、主にオンボーディングで導入している企業の事例をご紹介しました。
1:企業研修への導入ステップ
2024年1月に開催した「タニモク」フェスでは、パーソルキャリア総合研究所の小林祐児さんより「キャリアの自律度は年齢を重ねるごとに下がってしまう」「日本人の社外学習や自己啓発を行わない人の割合は、諸外国に比べて高い」ことが言及されました。
しかし、組織の体制においては、制度設計などの優先順位は高いものの、キャリア支援については低い傾向にあります。私たちはそのような状況を踏まえ、「タニモク」を通してキャリアを考える機会を提供していきたいと考えています。
「タニモク」が研修にも有効であることはnoteやイベントなどでも度々お話しさせていただいているのですが、「タニモク」事務局への問い合わせで多いのが、「どうやって企業研修に取り入れたらよいのか」という質問です。
そこで、ここからは研修に導入するまでのオーソドックスな流れをご紹介していきます。
ステップ①:少人数(人事部内、有志メンバーなど)で実施してみる
いざ研修に導入しようと提案しても、『「タニモク」って何?』『本当に効果があるの?』という反応が出るのは容易に想像できます。そこで、まずは10人以下(3~4人×2~3グループ程度)の小さな規模で実施してみることをおすすめします。
実際にやってみることで、「タニモク」を研修に導入して課題が解決できるのかを検証することができますし、参加者の声がエビデンスにもなります。決裁者を巻き込んで効果を実感してもらえれば、導入のへのハードルが下がるかもしれません。
ステップ②:採用オンボーディングやD&Iなどに盛り込む
「タニモク」を研修に組み込む際は、まず実施しやすいところ、効果が出やすいところからスタートしてみてください。
研修への活用で導入ケースが多いのは、「オンボーディング」や「D&I」です。中途入社者の孤立化を防ぐために中途入社者同士で実施したり、D&Iの取り組みの一つとして女性同士で開催したりすると、同じような悩みを持った人と悩みをオープンに話し合い、フィードバックし合うことができ、成果が上がりやすくなります。
ステップ③:参加社員の声や効果をもとに横展開させる
「タニモク」の参加者やそれに伴う感想が集まってきたら、それらをもとに横展開をしていくと、社内でキャリア対話の機会が増えていきます。
「新卒採用」から「中途採用」「●年目研修」「管理職研修」というようにキャリア対話が広がっていくと、メンタリングネットワークがつながるステップになります。
1.5:ラボ会員からのプレゼン「オンボーディングプログラム考えました」
ここで、2023年8月のラボフェスにもご登壇いただいた日産自動車株式会社の園邊聖芳さんから「手土産持ってきました!」との声が。現在検討している「次年度のオンボーディングプログラム」についてお話しいただきました。
検討中のプログラム内容(園邊さんより)
組織開発とは、土台となる信頼関係をつくり、知識と素養を習得し、職務実践で成功体験して、その仕事のフィールド自体を変えていくこと――。「人を育てること」を根底に、この部署に入ったばかりの社員が「ここに来てよかった」と思えるようなオンボーディングを目指して、次の3つを実施予定です。
①四方八方リレーメンタリング
上期は同じ職位の方とシャッフルペアリングをし、横の相互メンタリングを行います。下期はそれを縦と斜めに展開し、関係性を広げていきます。これにより、世代や部門間のギャップから生まれる新しい価値観やブレイクスルーの創出を目指します。
②キャリアビジョン相互サポート
入社・異動前に何をしていたのかを言語化した上で「Will」「Can」「Must」を整理し、この部署を経てその先はどうなりたいのか、キャリアビジョンを視覚化します。その内容を相互メンタリングの中で共有し、仲間同士でサポートし合います。
③「タニモク」ワークショップ
「タニモク」ワークショップはオンボーディング初日に実施予定です。お題は【この部署で、手持ちの武器を使い、今年度何にチャレンジするか】。場を和ませるアイスブレイクを挟みつつ、楽しく「はたらく」を考える機会をつくります。小規模でトライアルも実施済みで、理解者もいます。
より効果的にするために(三石さんより)
近年は企業をパートナーとして捉えて、どう活かし合える環境をつくるかという考え方が増えています。それを踏まえて、個々の「Will」「Can」「Must」を整理する部分では、企業や部署を擬人化し、組織の「Will」「Can」「Must」を言語化させると効果的です。個人と組織のWillの重なり合う部分が多いほど、やりがいを持って動けます。
また、これまでの経験や武器をオープンにして「タニモク」を行うという文脈は、まさにエフェクチュエーション(=新規事業・サービスなどの成功における起業家の思考プロセスを体系化したもの)そのもの。エフェクチュエーションでは、手持ちの技術や経験、ネットワークなどをオープンにし、小さなことを柔軟に紡ぎ合わせて大きくしていくことを大切にしています。キャリア自律に力を入れている企業ほど、キャリアビジョンを共有しながら現在やっていることとどう紐づいているのかをフィードバックする機会を多くとっているので、ここをきちんと行っているのが素晴らしいと思いました。
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三石さんからのフィードバックを受けて、園邊さんからは『これまで漠然としていたイメージが「組織を擬人化して育てる」という言葉で言語化できました!』というお言葉をいただきました。園邊さん、貴重なお話をありがとうございました!
2:導入事例の紹介
続いて、採用オンボーディングで「タニモク」を導入している企業の事例をご紹介しました。
株式会社ADKホールディングス
株式会社ADKホールディングスでは、【新入社員の導入研修】から「タニモク」の導入を開始し、現在は【若手のキャリア研修】でもご活用いただいています。新入社員の導入研修では、【出会いの振り返り→自己理解ワーク→「タニモク」】という流れで研修を実施。出会いから学ぶ気付きを「タニモク」で最大化できるような工夫をしています。
若手のキャリア研修では、経験キャリアマップを軸とした「タニモク」形式での対話の機会を設け、その後に人事面談を行うことで異動を中心としたキャリア実現の機会を設けてます。
ダイハツ工業株式会社
既に中途入社者や中堅クラスを対象に「タニモク」を導入していたダイハツ工業株式会社では、2023年4月、新入社員135名に対し「タニモク」を実施。「自己効力感の向上」「同期との関係性構築」「配属後の目標のブラッシュアップ」を目的に、1カ月間の研修期間の第4週に「タニモク」を取り入れました。
第1週のチームビルディング、第2週の自身の強みの棚卸し、第3週の配属面談を経て「タニモク」を実施することで、研修後の「社会や会社で“本当”の自分を知り、自己紹介ができる」「配属後、会議で自分の意見・質問をできる」姿を目指しました。「タニモク」で使用したシートは、1on1の際にも活用し、他者の視点を交えつつ目標のアップデートを続けています。
【特別編】企業横断(パーソルキャリア株式会社、サッポロホールディングス株式会社、株式会社ベネッセホールディングス)
こちらは、3社合同で新卒1年目の社員を対象に「タニモク」を開催した例です。入社して3、4カ月ほど経つとモチベーションや満足度が停滞しがちなため、現状の悩み事やモヤモヤをオープンに話し合い、自身の大切な軸を明確にすることを目的にしています。アンケートの結果では「なりたい姿を思い返せた」「振り返りの機会になった」という声が多く上がり、モチベーションの向上につながりました。
採用オンボーディングのポイント
採用オンボーディングに「タニモク」を取り入れる際は、上記のポイントを意識することが大切です。さまざまなパターンに織り交ぜ、日頃話をしないような方とグループを組むことで、大きな刺激になります。
また、オンボーディングが成功している組織ほど、当時たてた目標や行動を半年後や1年後の研修で振り返り、アップデートしていることもわかっています。仕組み化することで「タニモク」の効果がより大きくなっていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回のように実際の計画や成功・失敗例などをシェアし、相談し合える環境があることで、参加者の方にお土産を持ち帰っていただくことができます。
参加者の方々からは以下のようなご報告・感想もいただきました。
「タニモク」ラボ会員の数は、着々と増加中です。他の方に共有できるナレッジがないという方も、ラボでご自身の不安や悩みを打ち明けていただければ、それが他の方へのGIVEにつながります。「タニモク」の活用方法をもっと知りたい方、みんなと一緒に考えてみたい方は、ぜひ以下よりご参加ください。引き続きみんなでラボっていきましょう!
「タニモク」ラボの概要とエントリー方法は、こちらから。