見出し画像

【先輩に聞いてみた】研修導入までのプロセスとどの企業にも通じるヒント

「タニモク」は3~4人1組で目標をたてあうことで、自分の活かし方をみつけるワークショップです。
イベント ▶マニュアル ▶目次 ▶活用事例

こんにちは!「タニモク」編集部です。
さまざまな企業の方から「タニモク」実施のご報告をいただく一方で、『研修に「タニモク」を導入したいけれど、上長の許可が下りず実施に踏み切れない』というご相談を受けることも増えてきました。

そこで今回は、既に研修で「タニモク」を活用されている株式会社ADKホールディングスの加藤雄一郎さんに、導入までの詳細なプロセスとどの企業にも通じるヒントを伺ってみました。


実施企業と活用シーン

◆企業名:株式会社ADKホールディングス
◆活用シーン:
 ①新入社員導入研修(2020年より)
 ②入社3年目のキャリア研修(2022年より)

株式会社ADKホールディングス(以下、ADK)では、【新入社員の導入研修】と【入社3年目の若手のキャリア研修】で「タニモク」をご活用いただいています。

詳細な実践内容は、人事限定「タニモク」フェスや活用事例の記事でお話しいただいていますので、以下をご参照ください。

導入までのプロセス

ー今回は、導入までのプロセスや工夫について伺っていきたいと思います。ADKさんでは新入社員研修と若手のキャリア研修で「タニモク」を実施されていますが、研修に導入するまでの課程はどのようなものだったのでしょうか。

加藤さん:ADKの新入社員研修で初めて「タニモク」を実施したのは2020年4月ですが、実はその前の2020年1月に、1度「タニモク」を開催しています。ADKには「ADK University」という研修制度がありまして、その中の自由科目(任意参加型)で、私が講師として実施しました。

人事として研修や目標の設定、管理をしていたので、「タニモク」は魅力的なプログラムだと思っていました。この時はまだ新入社員研修に組み込むことは想定していなかったのですが、軌道に乗ったら全社的な必須科目にすることも視野に入れつつ、まずはそのための説得材料として体験者の声を集めたいと考えたんです。

ー「ADK University」で実施する際の上司の方の反応はいかがでしたか?

加藤さん:開講する前に「それって効果はあるの?」とは言われましたが、任意で行うものなので、まずは実験的に小規模でやらせてほしい、とお願いしました。当日はオフラインで15名程度が参加してくれましたが、ファシリテーションをするにはちょうどよい規模感でした。

ーそれからどのように新入社員研修へと発展していったのでしょうか?

加藤さん:2020年の2、3月には新型コロナウイルス感染症が大幅に拡大して、新入社員研修もオフラインを継続するのかオンラインで実施するのかを決定しなければならなくなりました。ただ、オンラインからスタートすることについては、「現場に出た後の自信の喪失」「エンジンのきっかけ不足」「関係構築の不足」などの課題が想定されていました。

「タニモク」はお互いが本音で話し合える環境で自分に向き合う時間がつくれますし、グループの人から後押しをされるので、自己肯定感や自己効力感を醸成できます。関係構築にも効果があると感じていたので、体験者の声を交えながら新入社員研修で活用できそうだと話を進めていきました。


「タニモク」を導入するためのヒント

ーここからは、「タニモク」を導入するためのヒントを伺っていきたいと思います。

①エビデンス(根拠)を示す

ー先ほど、「説得材料を集めたかった」とのお話がありました。何が説得のポイントとなりそうでしょうか。

加藤さん:上長への説得のハードルが高い場合、実績値をつくるのが最短距離かと思います。現場の声は人事の声以上に強い部分もあるので、人事が論理だてて「このような効果があるからこれをやります」と説明するよりも、「実際にやってみてこのようなポジティブな感想があった」と生の声を伝える方が受け入れられやすいのではないでしょうか。

先程の新入社員研修までの流れもそうです。他には、例えば、ADKの若手のキャリア研修は、元々3年目の異動制度の際に研修を外部委託していたのですが、自分たちなりのエッセンスを入れたいという想いがあったんです。新入社員研修の中で出た『3年後にまた「タニモク」ができたらおもしろいかもしれない』という感想をもとに効果を改めて整理し、キャリア研修への導入を進めていきました。

それから、これは研修全般に言えることかもしれませんが、「この研修に参加することでこのような状態になれる」とわかっていた方が参加者も安心して参加できます。そのためにADKでは研修の後に必ずアンケートを実施し、許可を得たうえで研修のアナウンスに前年度の感想を掲載するようにしています。

ー「人事」や「現場」など、メンバーの構成によって声の集まり方も異なりそうですが、最初の講座に参加した15名はどのような方々だったのでしょうか?

加藤さん:主に現場の方ですね。キャリアに悩んでいる知り合いや、目標設定に悩んでいてワークショップを求めていそうな方に個別で声をかけることが多かったです。ただ、人事と現場どちらから実施したらハードルが低いのかは業種や企業風土によるので、一概には言えないと思います。

ADKの場合、私以外の人事メンバーは「タニモク」の経験がなく、本当は最初に人事で行った方がよかったかもしれないと振り返ってみて思うのですが、結果的にすり合わせをしたのみでした。

ーエビデンスを集めるためには、具体的にどのように動くとよいでしょうか?

加藤さん:いきなり50名で実施するのは大変なので、最初は10~20名くらいの小さな活動から、徐々に大きな活動へと拡大していくのがよいのかなと思います。

最初から部署単位で実施するのが難しい場合は、サークル活動に近い形で実施するのも一つの方法です。上長には「このような効果があったから導入してほしい」「現場ではこのような声があがっていて、こういうものが求められている」と話をすると、「現場で求めているならそうする必要がある」と思ってもらえるかもしれません。

私の場合、前職では18時の終業後に「かとう会」という会を立ち上げて体験言語化の声量を大きくしていきました。実施したアンケートの内容は、以下の通りです。

・ワークショップに参加してよかったか
・今回のワークショップは自分のモチベーション向上につながったか
・こうしたワークショップの場は社内で必要だと思うか
・今回のワークショップを通じて社内のコミュニケーションが改善されると思うか
・今後も機会があれば参加したいか

ADKでは新入社員研修の翌日に1分程度の決意表明を行うのですが、『「タニモク」』というキーワードが時折聞こえてくるんですね。「タニモク」を全く知らない人は最初『「タニモク」って何?』と混乱もありますが、まずはそうやって体験者が話をしてくれる場が存在することで、認知や需要も広がっていくのではないかと思います。


②導入しやすいところから始める

ーこれから「タニモク」を導入したいと考えている企業は、どのようなシーンから始めるのがよいと思いますか?

加藤さん:新入社員研修は、何かのスキルを身に付けなければいけないスキルアップ研修やマネジメント研修とは違い、ゴールを柔軟に設定できるので、一番導入のハードルが低いのではないかと思います。当社も新入社員研修から導入して「実際にやってみてよかった」「効果があった」という社員からの声を集めることができてよかったですし、この声があったからこそ若手のキャリア研修での実施につながりました。

そのような経験もあり、若手の方がフィット感が強いという印象はあります。「新入社員研修」「振り返り研修」「キャリア研修」というように、同期が集まって自分の言葉で表現したり、自分のことを考えたりする機会が定期的にあると、キャリア支援に結びつきやすいのかなと思います。

ーその他に、「タニモク」を活用できそうなシーンはありますか?

加藤さん:ミドル・シニア層は自分のことを表現する機会が少ない一方で、いずれはセカンドキャリアを考えなければならなくなります。ある種一番不安を抱えている層でもあるので、例えばライフプランの話をした後に、不安を声にしたり真剣に相談したりする場として「タニモク」を実施するという方法もあるのではないでしょうか。

やってみたいと思うのは、中途入社社員のオンボーディングですね。現在ADKはアシミレーションというプログラムを実施しているのですが、チームの人同士をつなげるという意味でも、「タニモク」の効果はありそうです。

組織のくくりで考えると、エンゲージメントサーベイを参考にしながら採用や組織開発担当の部門長同士が集まって「タニモク」をやるというのも、さまざまな提案が出てきておもしろそうですね。

ーさまざまな活用シーンがありそうですね。「タニモク」を提供しているパーソルキャリアでは、「ダイバーシティ」「女性活躍推進」をテーマに実施したこともありました。

加藤さん:育休から復職する社員や、産育休を取得予定の社員に実施するのもよさそうですね。復職者は復帰するにあたっての不安があると思いますし、取得予定者は子どもが生まれた後の生活感や働き方を知りたいと思っているかもしれません。男性の育休取得も増やしていかなくてはいけないですし、私自身も子どもが生まれて状況や思考を整理したいと思った経験があるので、お互いの知りたいことと質問がマッチしてよい効果が生まれそうです。

社内で実施すると制度や仕組みに共通認識がありますし、「育休」のようにわかりやすいテーマにしぼられていると、いつまでにどのような状態にもっていくのか、そのために何をするのか、という目標と行動がフィットしやすそうですね。


③効果・結果を求め過ぎない

ー反対に、注意すべきポイントはありますか?

加藤さん:結果を急ぎすぎないことです。そのような意味で、「目標管理」というキーワードに結びつけるのは少し難しいと感じています。MBOやOKRのような目標を管理するものに結びつけようとすると、評価につながることもあり、どうしても現実的な話になってしまうんです。

その点、「キャリア」と「タニモク」は結びつけやすいですし、キャリア開発・支援、異動のある部署はやりやすいと思います。評価や金銭的なものから外れていて、かつ、導入しやすい部分にねらいを定めてやってみるというのがよいのではないでしょうか。


担当者コメント

ー具体的なお話を聞かせていただきありがとうございました。最後に、「タニモク」を実施したいとお考えの人事の方へメッセージをお願いします。

加藤さん:導入にあたって上司と1対1で向き合うのはハードルが高いですし、一人で進めるのは不安になるので、まずは仲間をつくるのが大切だと思います。その「仲間」が「人事」なのか「現場の人」なのかはそれぞれの職場環境によって変わりますが、仲間がいることで不安が消えていきますし、自分に自信もついていきます。周囲の人に支えられて後押しされるから自然に前進できる、というのは「タニモク」の効果と同じなのかなと思うので、ぜひ仲間を見つけてチャレンジしてみてください。


「タニモク」編集部より

「新卒」「中途」「〇年目」「振り返り」「ミドル・シニア」「ダイバーシティ」など、導入しやすいところから取り入れるとよいこと、そのためには、エビデンスと現場の声がポイントになることをお話しいただきました。

「タニモク」は誰でもミニマムに開催できるワークショップになっています。さまざまなところで小さく実施していたものが「このグルーピングでもできないか」「〇人規模でやってみるか」と広がっていくことで、「お互いがお互いの状況を理解する」「考えを伝える」という文化ができ、ポジティブな流れになりそうですね。
なかなか実施に至らないとお悩みの人事・研修担当の方は、今回のお話を参考にしてみてはいかがでしょうか。

また、「タニモク」ラボでは、組織の枠組みを超えたネットワークづくりを通して、組織と個人の活性化をサポートしていきます。
興味を持っていただけた方は、以下のリンクからご登録をお願いいたします。


「タニモク」の台本や映写資料は、公式ホームページよりすべて無料でダウンロードできます。
友人同士や組織で「タニモク」を実施したいという方は、マニュアルをチェックしてみてください。
実際に「タニモク」を体験した後は、「#タニモク」をつけて感想を発信していただけたら嬉しいです。みなさんの投稿も楽しみにしています!


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!