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【活用事例】“はたらくが広がる”を「タニモク」が後押し!コワーキングスペースでの連続開催の効果とは

「タニモク」は3~4人1組で目標をたてあうことで、自分の活かし方をみつけるワークショップです。
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こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは「タニモク」を主催された方々にインタビューを行い、活用方法などをご紹介しています。「タニモク」はさまざまな企業や学校のほか、最近ではコワーキングスペースでの活用も広まりつつあります。

今回は、2023年4月に「タニモク」noteでご紹介した「はたらくが広がる研究所 Gokalab(ゴカラボ)」での事例についての続編です。こちらのコワーキングスペースでは、2023年3月の初回開催後、定期的な「タニモク」開催へと発展し、6月には第2回が行われました。今後もクオーター期ごとの開催を予定しているとのこと。

そこで、継続的な「タニモク」がコワーキングスペースにおいてどのような効果をもたらし、貢献できているのかに着目。Gokalabのマネージャー金久美さんに、「タニモク」プロジェクトリーダー三石原士がお話を伺いました。今回はその様子をお伝えします。


【お話いただいた方】
金久美さん 
はたらくが広がる研究所 Gokalabマネージャー
コワーキングの運営と併設カフェ事業の責任者として、施設全体と場作りの設計を担当している

Gokalab(ゴカラボ)とは

三石:まずは、改めてGokalabについてご紹介をお願いします。

金さん:「Gokalab」は、2022年11月1日に長野県御代田町に開設したコワーキングスペースです。株式会社はたらクリエイトが運営しています。子どもから大人まで「はたらくが広がる」ことに興味のある人が集まり、同じ空間ではたらき、実験し、共有していく場をつくることを目的としています。普通のコワーキングスペースとはちょっと違うことをお伝えしたく「コワーキングスペースのような研究所」としています。

Gokalabでは、コワーキング会員の方を「研究員」と呼んでいます。開設から8カ月ほど経過し、研究員は約70名に増えました。施設ではカフェを併設していて、ランチやドリンクを提供していますが、カフェの利用者を含めて1日約30名の方に利用いただいています。

三石:コワーキングスペースのような『研究所』ということですが、とても個性的なネーミングですよね。この場所がスタートするに至った経緯を教えてください。

金さん:株式会社はたらクリエイトでは、以前長野県上田市でコワーキングを運営していました。その際、地方でのサスティナブルな運営や、人の流れが少ない中でコミュニティを作り上げていくことの難しさを痛感し、単なる「場所の提供」ではない運営を模索していました。そんな中コロナ禍もあり、Gokalabがある長野県御代田町や、その周辺の軽井沢町、佐久市に、首都圏から移住してくる方が増えてきました。これからの生き方や社会のあり方にある種の疑問を持つ方も多く、みなさん「ただ働くこと」だけを求めているのではない、と感じていました。

そこで、何が正解かはわからないけれど、未来に対する不安もみんなでシェアしながら次の時代の働き方を考えたい!楽しく次世代を創っていきたいと思ったんですね。コワーキングというだけでなく、“はたらくが広がっていく”ような施設にしたい、みんなで研究していきたいと。そこで、次のようなコンセプトが生まれました。

【Gokalabコンセプト】
子どもから大人まで「はたらくが広がる」ことに興味のある人が集まり、同じ空間ではたらき、実験し、共有していく場をつくっていくこと

移住したけれど地域のつながりが見いだせない、という声にも応えられる施設を目指しています。

三石:研究員は、どのような方がいらっしゃいますか?

金さん:研究員は、経営者、会社員、フリーランスの方が多く、パラレルワーカーが多数を占めています。御代田町やその周辺の軽井沢町、佐久市、上田市など東信州エリアが最も多いのですが、福岡や群馬の方もいらっしゃるんですよ。ワーケーションでこちらに来たときにGokalabを利用したことを機に研究員に所属してくださっています。オンラインコミュニティも作っているので、遠方の方が研究員になることも可能なんです。みなさんには、この施設をワークスペースとして使っていただきながら、各々が「はたらくが広がる」ことに関する研究テーマを見つけ、実験していただいています。

三石:一緒にはたらいて楽しめそうな、まさにはたらくが広がりそうな方が集っている感じですね。

金さん:ありがとうございます。そういった方が集まる一因として、研究員への登録フローが関わっているのではないかと思っています。

アウトプット①「はたらくが広がるワークショップ」では、プラスチック製ブロックを使ったワークショップに参加、アウトプット②では研究小論文を書いていただきます。ワークショップも論文もある意味「面倒」かもしれませんが、研究員になってくださる方は、それを行うことで、新しい自分を発見したり潜在意識に気づいたりして、「面白い」と捉えてくださるんですよね。

三石:Gokalabに伺った際、壁面に貼られている研究論文を拝見しました。読んでいるとさまざまな視点があって、Gokalabの特色につながっていると感じました。

金さん:起業したい、教育に興味があるなどいろいろな角度からの視点があって粒度もさまざま。みなさんとてもユニークです。研究員コミュニティは、自主的で持続的な組織づくりを目指していけるといいなと。なので、私自身もマネージャーではなく、「研究員」の一員としてみなさんとは関わらせていただいています。

今後もたくさんの研究員の方と、Gokalabならではの方法で“はたらくを広げて”いきたいと考えています。


これまでの実施状況

◆実施時期:第1回 2023年3月、第2回 6月
◆実施場所:Gokalab(長野県御代田町)でのオフライン開催
◆活用シーン:コンセプトである「はたらくが広がる」の実現
◆対象者:Gokalabを利用している研究員
◆参加人数:第1回 8名、第2回 10名

「タニモク」導入の背景

三石:まずは「タニモク」を導入した背景、きっかけについて教えてください。

金さん:先ほどお話ししたように、Gokalabにはさまざまなバックグラウンドをお持ちの方が集まっています。初期からの研究員の方には、どんな場所にするのかといったコミュニティ作りのヒアリングから関わっていただいています。そういった経緯もあり、Gokalabは「コミュニティ醸成」をとても大事にしています。そのために研究員のみなさん同士の「ゆるいつながり」をどう作るかを課題のひとつとしています。

そんなつながりを考えた時、利害関係のない他人同士でワークする「タニモク」と非常に相性がよさそうだと感じたんです。一方的に何かを与えるのではなく、お互いのことを知る、応援し合うといった関係性を構築できるワークショップとしてマッチするのではないかと思い、「タニモク」を実施することになりました。


「タニモク」で得られた効果

三石:「タニモク」を実施してみて、どのような効果が得られたのでしょうか。マネージャーでもあり研究員でもある金さんの視点から効果をお話いただけますでしょうか。

金さん:まず挙げられるのが、研究員同士のコミュニケーションが深まったことです。同じワークスペースで仕事をしていても、関わりを作れていない研究員の方もいるので、「タニモク」を通してつながれたことがよかったですね。

2点目としては、共創の意識が生まれているという点です。例えば、Gokalabである研究員が何かをやりたいとプロジェクトを立ち上げる時、『そういえば「タニモク」で、●●さんが××したいと言っていた』という声が自然と上がり、そこからどんどん広がっていくんですね。研究員同士が、お互いのやりたいことを知っている、というのはコミュニティ醸成において非常に有効だと感じています。

三石:研究員のみなさんで、情報のシェアができているんですね。

金さん:まさにおっしゃるとおりです。一般的に、コワーキングスペースにコミュニティマネージャーを置くと、マネージャーに情報が集約され、属人化してしまうことがあります。そうすると、コミュニティマネージャーの視点や視野でしか判断できないことが増えてしまうと思うんです。

でも、「タニモク」だと、ワークショップを通じて研究員がお互いの情報や、やりたいことをシェアしているので、コミュニティマネージャーを介さずとも研究員の方のプロジェクトが進んでいくんですね。それは、「タニモク」がもたらしてくれた効果だと感じています。


周りの方への影響

三石:Gokalabで「タニモク」を開催した際にファシリテーターを務めていて感じたのは、周りからの注目度の高さです。オープンなカフェスペースで実施したこともあり、参加者以外の研究員やカフェの利用者から「盛り上がっている様子だけれど、何をやっているんだろう?」という関心の眼差しがありましたよね。

金さん:そうでしたよね。参加していなかった研究員の方から、「次はぜひ参加したい」という声をいただき、それが2回目の「タニモク」実施にもつながっているんです。会場となったカフェがある1階スペースは研究員以外の方も利用できるので、「タニモク」をご覧になった一般の方に、「Gokalabはただのコワーキングスペースだけでなく、さまざまなワークショップや活動ができる場所」とわかっていただけたことも嬉しい影響だと思っています。

「タニモク」をきっかけに、輪が広がり、研究員登録しているだけではきっと生まれなかっただろう関係性が「タニモク」によって構築されています。応援し合える雰囲気を感じています。

三石:とても興味深いつながりですね。最近、同じ企業内でも他の人が従事している業務や同僚に興味を示さないという話を聞いたのですが、この応援し合う関係性というのが、「タニモク」をきっかけに回りだしているのだとしたら、とても嬉しいですね。「タニモク」ワークをしている方の姿を見て、「自分も頑張ろう!」という気持ちが湧いて、自分への関心、そして他の方への関心へと広がっているのかもしれませんね。

金さん:そうですね。そして、その応援し合う関係性が、決して無理して応援している感じが一切ないんです。自分のハッピーのために、自分ができることを他の方にギブする、「ギフトが回っている」という感じですね。


「タニモク」による研究員同士の連携

三石:「応援し合える雰囲気」というのは、具体的にはどのようなことでしょうか。

金さん:「タニモク」がきっかけとなり、研究員同士の連携によるプロジェクトがいくつか生まれています。3人の研究員の事例をご紹介しますね。

まずは、ポップアップストアで、ドーナツショップを出店した女性の研究員の事例です。Gokalab内で絵画の展示会をしたときのことです。Gokalabは通常平日のみ営業をしているのですが、ギャラリーの開催に合わせて週末のカフェ営業をどうするかという問題が出ました。その時、「タニモク」参加者のひとりで、普段は人事コンサルティングの仕事をしている研究員が、「私、ドーナツ屋さんをやります!」と自ら手を挙げ、ギャラリー応援企画として行動に移したんです。

その背景には、3月に開催した「タニモク」がありました。「タニモク」で、“身近にいる人たちをハッピーにしたい”と話していて、「昔から大好きだったドーナツで出店をする」という目標をたてたんです。

ただ、そういった目標をたてても、いざ行動するとなるとまず場所の問題が出てきます。でも、Gokalabは「研究所」として研究員に場を開いていますし、キッチンを備えたカフェがあるのでその点はクリアできるんですね。Gokalabを実験場として、「タニモク」でたてた目標を叶えたんです。

これまでに3回ドーナツショップをオープンしました。さらに、そこで得た収益で、ギャラリーで展示していた絵画を購入したんですよ!この施設内で経済が回っています。

三石:たてた目標を叶える場所としてGokalabが機能し、さらに周りの人も応援してくれていることがすばらしいですね。ほかの事例も教えてください。

金さん:2回目の「タニモク」に参加した女性の方ですが、ドーナツショップに影響され、Gokalabカフェで定期的にワッフルを提供してくださっています。

また、この方は「タニモク」で、地域のことを発信していきたいと話したら、他の参加者に「地域メディアを立ち上げる」という目標をたててもらったんですね。でも、彼女はそれを自分の中に落としきれずにいたんです。その後、誰よりもこのエリアの情報に精通している彼女はすでに「動く地元メディア」なのではないかという話になり、「地元の知りたいことは彼女に聞こう!」と、さまざまなシーンで声をかけられているようです。

三石:「タニモク」後の展開は、継続的な関わりがあるからこその効果ですね。まさに、応援し合う関係ですね。

金さん:そうですね。3つ目の事例は、IT系企業でマーケターとして働いている男性の研究員の方です。マーケティング業務もいいけれど、今後はモノづくりなど自分が好きなことを仕事にして、そちらにシフトできたらいいなと考えていたそうです。そして、「タニモク」で「起業する」という目標をたて、その後Gokalabで開催した「新規事業を立ち上げる」をテーマとしたワークショップに参加しました。「タニモク」をきっかけに、漠然と考えたことが確実な一歩につながったと言っていました。

三石:Gokalabで「タニモク」をすることで、みなさん新たな歩みが生まれているんですね。

金さん:他にも、自分の中でぼんやりしていた目標が「タニモク」で明確になったとおっしゃっている研究員の方もいます。「タニモク」による研究員同士の連携をひしひしと感じています。


コワーキングスペースで活用するためのポイント

三石:「タニモク」編集部には、他のコワーキングスペースでも「タニモク」を取り入れているといった声や、これから活用していきたいという声が届いています。金さんが感じたコワーキングスペースで「タニモク」する利点やアドバイスを教えていただけますでしょうか。

金さん:コワーキングスペースそれぞれに特徴があると思いますが、コミュニティ醸成を大事にしたいと考えているならば、複数のワークショップを取り入れる準備をしておくことが重要だと感じています。その選択肢のひとつとして「タニモク」があることが、非常に心強いんですよね。特にさまざまな属性や年齢、業種の人が集まる場合、お互いを知らなくても深くワークできる「タニモク」はとてもマッチするのではないでしょうか。

誰かひとりがトップに立つのではなく、協働していくためには、誰が何をしたいのか、どういう考えを持っているのか知っていることがポイントになると思っています。「タニモク」をすることで、それがわかり合え、応援し合える関係性を構築できると思うんです。

また、「タニモク」を繰り返すことで、相手の本質を知ることができたり、新たなファシリテーターが生まれたりするのではないでしょうか。新たなファシリテーターが誕生すれば、そこからまた新しい「タニモク」が広がっていくことでしょう。こうした流れは、コミュニティを大切にしているコワーキングスペースにとって非常にありがたいことです。コワーキングだけに限らず、自立を目指す組織にとっても有効だと思います。

三石:確かにそうですよね。「タニモク」は1回でも効果がありますが、繰り返すことでより一層の効果を得ることができると自負しています。「タニモク」では2023年のコンセプトに以下を掲げています。

【2023年「タニモク」コンセプト】
キャリア・メンタリング・ネットワーク/周囲に信頼できる関係を構築し、相談できる仲間を増やし、相互に行動を支援する輪を社内外に広げていくこと

繰り返しワークショップを行い、ネットワークを広げていくことは自分にとっても相手にとっても非常に重要です。企業においても、会社組織図に反映されていない互助組織は、実は偉大なパワーがあるんですよね。それがすでに具現化されているGokalabは、未来の組織の形なのではないかと感じています。

金さん:ありがとうございます。非常に嬉しいお言葉ですね。あともう1点、「タニモク」をコワーキングスペースに導入するメリットとして、コワーキング内での共創・協働への取り掛かりのワークとして有効だということです。

例えば、複数人でプロジェクトを立ち上げるとなった時、お互いの考えや目指すことを知らないと、途中で方向性のズレやの疑問が生まれることがあると思うんですね。ファーストステップとして「タニモク」を取り入れるのはプロセスとしてよいと思います。

Gokalabは地方での新しいコワーキングスペースのモデルを作っていきたいのですが、「タニモク」を導入できたことはとてもよかったと思っています。

三石:ありがとうございます。話を伺い、単なる場所提供に留まらないコワーキングスペースであるGokalabと「タニモク」のコンセプトが響き合い、非常に親和性が高いと感じます。

心理的安全性を高くし、応援し合う関係性を目指すコワーキングスペースは多くあると思いますが、お互いが心を開いて話せなかったり、一方的に話すまたは聞くだけの関係性だけになったりという声はよく聞きます。コワーキングスペースとしての一貫したコンセプトがあると、集う人が満足できる場になるのではないかと思いました。それを叶えるひとつのツールとして「タニモク」を活用していただけると嬉しいですね。

金さん:今後もクオーターごとに「タニモク」を行っていく予定です。仕事をするだけならばここではなくてもよいのですから、Gokalabならではのスペースを作り出し、研究員のみなさんで、はたらくを広げていきたいと思っています。

「タニモク」編集部より

金さん、貴重なお話をありがとうございました。継続している「タニモク」の事例として、研究員のみなさんのつながりや広がりをとても感じました。「タニモク」でたてた目標をすぐに実践できたのは、コミュニティ醸成を大切にしているコワーキングスペースだからこそではないでしょうか。ただ仕事をするだけでなく、「はたらくが広がる」ことを目指すGokalabと「タニモク」の今後の展開にますます期待しています。

「タニモク」を連続開催するメリットについては以下の記事でもご紹介しています。よかったらご覧くださいね。

「タニモク」の導入を検討しているコワーキングスペースのみなさんにとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

「タニモク」の台本や映写資料は、公式ホームページよりすべて無料でダウンロードできます。
友人同士や組織で「タニモク」を実施したいという方は、マニュアルをチェックしてみてください。
実際に「タニモク」を体験した後は、「#タニモク」をつけて感想を発信していただけたら嬉しいです。みなさんの投稿も楽しみにしています!