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【活用事例】大学の授業から発足『エフェクチュエーション実践サロン×「タニモク」』

「タニモク」は3~4人1組で目標をたてあうことで、自分の活かし方をみつけるワークショップです。
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こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは「タニモク」を主催された方々にインタビューを行い、活用方法などをご紹介しています。今回は、エフェクチュエーション実践サロン「スナックレモネード」で実施した「タニモク」の活用事例をご紹介します。


スナックレモネードとは

スナックレモネードは、関西学院大学ビジネススクールの授業「エフェクチュエーション」から生まれた日本で唯一のエフェクチュエーション実践サロンです。

スナックレモネード1

(撮影:スナックレモネード アートディレクター 吉川慎太郎さん)

エフェクチュエーションとは、バージニア大学ダーデン経営大学院のサラス・サラスバシー教授が唱える理論で、27人の創業者へのインタビューから成功に関わる行動パターンを導き出し、理論化した起業家的な問題解決アプローチです。彼女の指導教官は人工知能の父とも呼ばれるハーバード・サイモンという認知科学の重鎮なのですが、サラスバシーはサイモンが人工知能を作る際に用いた「プロトコル分析」という手法を使って、起業家の意思決定プロセスを分析しました。その結果、「4つの原則」と「1つの世界観」としてまとめられる共通したパターンが見つかった。これらをまとめてエフェクチュエーションと呼んでいます。

エフェクチュエーションの4つの原則と1つの世界観
1. 「手中の鳥」の原則

自分が今持っている手段からスタートして、可能な結果をデザインする。

2.「許容可能な損失」の原則
どこまでの損失なら許容できるかを基準に選択する。

3. 「レモネード」の原則
不確実性や予期せぬ出来事をリソースと捉え、テコとして活用する。

4.「クレイジーキルト」の原則
顧客や競合もパートナーと見なし、提供される資源を柔軟に組み合わせて価値を生み出す。

5.「飛行機の中のパイロット」
予測に頼るのではなく、コントロールによって望ましい結果に導く。

【お話しいただいた方】
・垣内健祐さん

株式会社たこ八取締役副社長。
関西学院大学大学院・経営戦略研究科に在籍。
コロナ禍後の再会に希望をつなぐ場をつくりたいという想いからスナックレモネードを主催。

・谷口千鶴さん
スナックレモネードサイトの構築、スナックレモネード(定例会)「キルトの会」の企画・運営担当。
関西学院大学大学院・経営戦略研究科に在籍。
エフェライフデザイナーとしても活躍中。

店主とお手紙係り3

(撮影:スナックレモネード アートディレクター 吉川慎太郎さん)

授業の内容に心を動かされ、このまま終わってしまうのは勿体ないと感じた垣内さんがサロンをつくり、「エフェクチュエーションの理論を広めたい」「このワクワクする変化をもっと楽しみたい」と賛同する受講生仲間と動き出しました。今回、スナックレモネードでは、「タニモク」をアレンジしたワークショップを実施しているとのことで、お話を伺ってきました。


「タニモク」実施のきっかけ

ーエフェクチュエーション実践サロンであるスナックレモネードで、「タニモク」を実施することになった背景を聞かせてください。

ー谷口さん:「タニモク」との出会いは、実は関西学院大学院(MBA)の授業だったんです。エフェクチュエーションを日本に持ち込んだ神戸大学大学院・准教授の吉田満梨先生が『「タニモク」はエフェクチュエーションと親和性が高いのでやりましょう』と提案してくださり、授業の一環として実施しました。

ー垣内さん:エフェクチュエーションとの親和性がめちゃくちゃ高い。エフェクチュエーションの「手中の鳥」から「許容可能な損失」の範囲内でDOする理論フレームとほぼ一緒なんですよね。「タニモク」は名前も可愛いので、取っかかりやすい。



スナックレモネード流の「タニモク」

◆実施時期:2021年7月~
◆実施頻度:不定期
◆対象者:関西学院大学のエフェクチュエーション授業受講者、プチレモンさんのお作法教室受講者
◆参加人数:延べ36名

ースナックレモネードではオリジナル要素のある「タニモク」を実施しているとお聞きしました。

谷口さん:授業で実施した「タニモク」は簡略化されたものでしたが、あまりに楽しくアイデア出しができたので、すぐにパーソルキャリアさんが主催する「タニモク」に申し込みました。そこでマニュアルに沿った「タニモク」をやってみて、「これはいい!」とすぐに垣内さんに伝えたんです。すると、すぐに垣内さんも気に入ってくれて、スナックレモネードに取り入れてくれました。ただ、スナックレモネードでは「タニモク」のニュアンスだけをいただいているので、最初は「タニモク」の名前を使ってもよいかヒヤヒヤしました。

垣内さん:それでいうと、スナックレモネードでは1回のタニモクの主人公を1人に設定しています。最初にやった時は1:13かな。1人の目標をたてるためにみんなが2時間真剣に取り組むんです。

ーそのやり方、主人公の方はとても嬉しく感じられそうですね。

垣内さん:幸せのシャワーをめちゃくちゃ浴びるんですよ。浴び方が半端ないというか…

谷口さん:主人公が1人なのでグループ分けもしていません。また、公式の場合、自分の状況を説明する際に絵を描くんですが、スナックレモネードでは言葉で伝えています。

垣内さん:かなりアレンジをしていますが、「私が〇〇さんだったら…」という枕詞は必ずつけるよう、みんなに伝えていますね。無責任に、大胆に提案する部分は公式のやり方と同じです。他には、目標をたてただけで終われない仕組みにしています。「タニモク」実施の翌月に、スナックレモネードの勉強会で進捗を報告するところまでをセットにしています。

谷口さん:報告用の資料は教授も見るので、かなりの熱量でプレゼンしていますね。報告会以外でもSNS上でその後の報告があがると、アドバイスや紹介などのコメントが見られます。

タニモク風景 (1)
若手メンバーに自分の頭の中をシェアしてくれる先輩メンバー (1)

(撮影:スナックレモネード アートディレクター 吉川慎太郎さん)

ー当日の進行やタイムキーパーなど、役割分担はどのようにされていますか?

谷口さん:ファシリテーターは垣内さんが担当しています。

垣内さん:タイムキーパーは谷口さん。僕はしゃべり過ぎちゃうんで(笑)



実施する上で意識したこと

ー「タニモク」をやるにあたり、どのようなことを意識していますか?

垣内さん:スナックレモネードではオーセンティックを1つのテーマにしています。自分らしさを大切に、より自分らしく追及するために「心のパンツ」を脱ぐことを大切にしていますね。素の自分を見せ合わないと「タニモク」は成立しないと思っています。

谷口さん:メンバーがオーセンティックでいられるように、自分たちが先だってバカみたいなことをしています。こんなことをやっても大丈夫なグループだよというメッセージを込めて、意味なく着物を着て料亭で幹部会をしたり(笑)それがサロンメンバーの心理的安全性につながっていると思います。

密談

(撮影:スナックレモネード アートディレクター 吉川慎太郎さん)

垣内さん:行動に起こしてもそこで止まってしまうこともあるんです。エフェクチュエーションのサイクルが回りやすくなるように工夫しています。次の行動ができない時も報告することで、みんなから「こうしたらどうかな」「〇〇の理論を勉強したら広がるんじゃない?」と声をかけて決して放っておかないことを大切にしています。

ーみんなからの贈り物のようですね!

谷口さん:本当にそうなんですよ。「あげられるものだったら出し惜しみせずにください」
という精神で「お互い奪い合ってください!」とメンバーには言いますが、実は恵み合っているんです。他には、前回と比べて少しでもよくしたいと思っていますね。発言しない人がいないようにしたいし、幸せな時間になってほしい。



得られた効果

ー実際に「タニモク」をやってみて得られたものはありますか?

垣内さん:リアルでビジネスそのものが動き出していること。「タニモク」って、やったら動かなければいけないという良い意味でのプレッシャーもセットになっているように感じます。「タニモク」だからみんな実際にDOできるんじゃないかな。

谷口さん:私はプライベートでたくさん「タニモク」を実施しているんですが、「行動と継続を意識し、刺激になります!」「前に進めました」という感想をいただいた時に効果を感じます。「タニモク」を開催したことに感謝されたり、「タニモク」を通じてスナックレモネードに入りたいと言ってもらえたり…また「タニモク」をやってくださいという『「タニモク」待ち』もできています。

垣内さん:「こういう人を知っているから紹介しようか?」と声をかけたり、自分の知見から理論フレームを提供してくれたりするんで、すごいんですよね。実際、メンバーの中には「タニモク」をきっかけに人とのつながりを得られた人や、自身の事業を進められた人もいます。



これからの「タニモク」について

ー今後は「タニモク」をどのように活用していきたいですか?

垣内さん:先日のファンミーティングで高校生や企業の活用事例を聞いて、自分たちもやっていきたいと思いました。

谷口さん:「レモサポ」のようなネーミングもいいですね。

垣内さん:同じメンバーでやるのもいいけれど、違うメンバーでやるのもよさそうですね。ゆるいつながりも大切にしたい。

ー記事を読んでいる方の中には、「タニモク」に興味はあるけれど未経験の方もいらっしゃいます。まだ体験したことがない方に向けてメッセージをお願いします。

垣内さん・谷口さん:「タニモク」を経験したら、きっとオーセンティックな自分に出会えますよ。



「タニモク」編集部より

垣内さん、谷口さん、お話しいただきありがとうございました。エフェクチュエーションを学ぶお二人ならではの「タニモク」に対する真剣な姿勢や想いを感じ、こちらもワクワクしながらインタビューさせていただきました。エフェクチュエーションを学んだ「スナックレモネード」のメンバー間で「タニモク」をすることで、エフェクチュエーションの4つの原則と1つの世界観を応用しながら、GIVEの精神で真剣に取り組んでいる様子でした。お互いに心をオープンにできるよう、幹部メンバー自ら雰囲気づくりをしているところも魅力的ですね。

「タニモク」によってどのような変化があるのか気になる方や、企業やコミュニティで「タニモク」を実施してみたい方の参考になると嬉しいです。

「タニモク」の台本や映写資料は、公式ホームページよりすべて無料でダウンロードできます。
友人同士や組織で「タニモク」を実施したいという方は、マニュアルをチェックしてみてください。