【活用事例】同期のつながりが心の余裕に『フォローアップ研修×「タニモク」』
こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは、「タニモク」を主催された方々にお話を伺い、活用方法や得られた効果などをご紹介しています。
今回は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)で入社1年目の社員向けに行われた、「フォローアップ研修」での活用事例です。研修を担当された西山洋輔さん、津田さやかさんにお話を伺いました。
実施企業と参加者
実施背景と目的
ーはじめに、今回、入社1年目の社員を対象として「タニモク」を実施することになった背景をお聞かせください。
西山さん:1年目は覚えることも多く、なかなか心が休まらなかった可能性も高いので、フォローアップ研修では「一息ついた状態で2年目や数年後の目標設定をたててもらいたい」と考えていました。
そこでインターネットで研修内容やワークショップを検索していたところ、「タニモク」を見つけたことがきっかけです。「心理的安全性AWARD」の受賞記事や他社での活用事例も拝見し、堅苦しくなく楽しそうだと目を惹かれました。
ー研修前の課題や、「タニモク」に期待したことがあれば教えてください。
西山さん:これまでの研修は講師から与えられた課題をこなすものも多く、どちらかと言うと受け身になりがちな印象でした。「タニモク」は全員が主体的に参加できるプログラムだと感じたので、他者から得られるフィードバックを受けることで、「より視野を広げる」「柔軟性や俯瞰性をもつ」ことをゴールにしたいと考えました。
また、JR東日本ではフォローアップ研修を『同期Meet Up』と呼んでいるのですが、同期とは言え、採用区分や担当エリアが異なるため、全員が集合する機会はなかなかありません。「同期という貴重な関係性同士でより交流を深めてもらいたい」という想いもあり、例年は採用区分によって研修内容も異なるところ、今回は採用区分をまたいで実施しました。
実施内容
ー具体的な実施内容を聞かせてください。
西山さん:研修日の午後の時間帯を全て「タニモク」にあてました。社内のラウンジに集合し、全員オフラインで実施しました。ファシリテーターは、「タニモク」事務局の三石さんと小松さん。その他に私と津田さん、マネージャー2名がサポート役として控えていました。
三石:今回、西山さんからお話をいただいて注力したのは、次の2点です。
また、本番の「タニモク」ワークの流れは、下記のとおりでした。
まずは「ライフラインチャート」を使用し、入社前から入社後までのテンションのアップダウンを示してもらいました。1人あたりのワークは、30分。お互いのこれまでの体験をじっくりと聴いてもらうために、通常のタイムテーブルよりも長めにとるようにしました。自分自身の体験を真剣に聴いてもらうことで、1年目の仕事への想いや悩みを同期のみなさんに素直に打ち明けられたと思います。
ー参加者の中に「タニモク」の経験者はいらっしゃったのでしょうか?
西山さん:全員が初参加です。研修で「タニモク」を実施することや、公式ホームページに掲載されている情報は事前にアナウンスしていたのですが、「おもしろそうですね!」「全くイメージがわかないのでわくわくします」と好印象でした。
開催時に意識したポイント
ー開催にあたり、意識したことや工夫したことがあれば教えてください。
西山さん:「会場全体の雰囲気をやわらかくすること」です。自分の境遇や現況を話すためには、できるだけ和やかな雰囲気で実施できる方がよいと考えていたので、研修らしさを感じずわいわい話しながら距離を縮められるように、Kahootを活用したアイスブレイクを用意したり、BGMをかけたりしました。
また、当オフィスでは最近オフィスカジュアルを推進していますが、「タニモク」当日の服装もオフィスカジュアルを推奨し、快適かつ参加者同士が馴染みやすい状態で臨めるようにしました。
三石:当日はみなさん私服で参加されるということで、堅苦しくないワークショップにしようと思っていました。ですので、私たちも「タニモク」Tシャツを着てプログラムに臨んでいます。それから、「タニモク」に入る前にちょっとしたクイズを挟んだり、アイスブレイクをおいたりしたことも今回の工夫ポイントのひとつでしたね。
ーグループ分けはどのように行いましたか?
西山さん:主体的なプログラムかつオフライン開催だったので、空いた席に自由に座ってもらってグループをつくりました。ただし、ワークショップの特質も踏まえて、「普段あまり関わりのない人や会話をしたことがない人を意識してください」と補足をさせてもらっています。せっかくの機会なので、津田さんとマネージャーにも参加してもらいました。
三石:席を立つことがないとずっと座ったワークとなってしまうため、適度に体を動かしてもらうことは意識しました。そうすることで、場の盛り上げにもつながるので。
主人公(=目標をたててもらう人)に対して残りの方が目標をたてるタイミングでは、主人公に席を外してもらうようにしました。テーブルに主人公が座ったままでは他の方が主人公を意識してしまって目標をたてるのに支障が出る、というのが主な理由ですが、別の理由として、この時間を利用して主人公だけが集まる席を設けて、談笑する時間に使ってもらいました。「タニモク」ワークでできたグループ以外の方との交流機会をつくり、より多くの方とお話できる工夫を行いました。
「タニモク」で得られた効果
ー実際の参加者の様子やアンケートの回答を受けていかがですか?
西山さん:アンケートの結果を見ると、全体の満足度が5段階評価で「4.62」と高い数値ですね。新卒採用だけでなく経験者採用の方も数名いらっしゃったので、多少緊張するかなと想像していましたが、全体的にアットホームな雰囲気で、皆さんわいわい笑顔で参加されていた印象です。
中にはライフラインチャートの作成に多少苦労している社員もいましたが、グループのメンバーやサポーターが積極的にフォローしていて、うまく回っていたように感じました。津田さんとマネージャー1名にもグループのメンバーとして参加してもらったのですが、1年目の社員からすると、「この人たちも一緒にやってくれるんだ」と親近感を感じてもらえたのではないかと思います。
津田さん:同期という関係性もあると思いますが、ファシリテーターの方が話す内容を明確にしてくださったこともあり、ざっくばらんな会話が続いていたことがとても印象的でした。私自身も参加しましたが、「これをするのに〇分」と時間が区切られているので、スムーズに話ができました。それなりに長い時間だったので、これがフリートークだったら、静かになってしまうグループもあったかもしれません。時間配分やアナウンスの重要性がわかり、運営側としても勉強になりました。
ーどのような個人目標があったか、差し支えない範囲で教えていただけますか。
西山さん:「いろいろな人とコミュニケーションをとる」「もっと情報交換をしていく」という目標が多かったです。「後輩を元気づける優しい先輩になる」というのもありましたね。「タニモク」で悩みを聞いてもらったりアドバイスをもらったりして、心にゆとりが出たからこそ生まれた目標もあるのではと感じています。
参加者の声
ーアンケートではさまざまな視点での感想がありますね。
西山さん:はい。「視野を広げる」「同期間の交流を深める」という目的は概ね達成できたのではないかと思います。『同期も同じ悩みを持っていることがわかって、無駄に悩むのをやめようと思った』という回答には、タニモクには、そのような効果もあるのかとよい意味での驚きもありました。中には『自分の目標を考えるために他人が時間をとってくれているから、自分も真剣になれた』という回答もあり、「タニモク」のよいところをたくさん知れました。
終わった後の懇親会でも「楽しかったのでもっといろんな世代とやりたい」「また何年後かに集まってやりたい」という言葉をもらったので、全体的に有意義な時間になったのではないかと思います。
担当者コメント
ー改めて、今回「タニモク」を実施した感想や今後の展望をお聞かせください。
西山さん:自分の状況を話して、第三者から目標のヒントをもらうというプログラム内容がこれまでの弊社にはない進め方で新鮮でしたし、同期同士のコミュニケーションを図るぴったりなコンテンツだと思いました。来年度以降も、新入社員に限らずさまざまな年次や世代、系統の社員とやってみるとおもしろそうだと感じています。
津田さん:コロナ禍の影響でコミュニケーションの機会が減っているなかで、より「他者がどんな仕事をしているのか」を把握することがとても重要だと感じています。「他者の知見を聞いて自分の業務に役立てる」という使い方があるというのもよかったです。
私自身、今回上司と「タニモク」を実施して、どのような経験をされてきたのかを詳しく知れたのは新鮮でしたし、意識も上がりました。今後もさまざまな年次で実施していきたいと思います。
ー実施したうえでの課題点や改良点があれば教えてください。
西山さん:今回は入社1年目の社員が対象だったので、ライフラインチャートには大学から現在に至るまでを書き起こしてもらいましたが、今後さまざまな世代に実施するには、もう少し具体的なテーマ設定や工夫をする必要があると考えています。
「業務の経営計画」や「働き方」というように、トークテーマやカテゴリを絞ってみてもおもしろそうですし、より具体的な提案が出そうですね。
津田さん:今回は同期という心理的安全性が高い中での実施だったからこそ、自分をさらけ出せた部分も大きいのかなと思っています。今後さまざまな系統や年次に展開していった際に、ここまで内面をさらけ出せるのかという不安はあるので、場の温め方は工夫していかなければと思っています。
「タニモク」編集部より
コロナ禍でコミュニケーションの機会が減っている中、オフライン開催された今回の「タニモク」。新たな視点を得るだけでなく、同期間の絆を深めるよい機会になったのではないでしょうか。
「タニモク」は、さまざまな年次の研修にご活用いただけます。自己開示や対話の機会として、ぜひ実施してみてはいかがでしょうか。