「誰が何を知っているか」がわかることで組織を強くする「タニモク」
リモートワークが広がり、通勤とテレワークを行うハイブリッドワークを行うビジネスパーソンも多くなりました。一方で、「社員の一人ひとりの関係性が薄くなる」「組織の連帯感が失われている」といったマイナス面も聞かれるようになりました。こうした課題も明らかになる中で、テレワークの負の部分も理解しつつ、組織力を向上させる施策を行いたいと考える人事担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、「タニモク」によって解決できるテレワークの処方箋について、お話をしたいと思います。
トランザクティブ・メモリーが組織を強くする
テレワークによって、社員一人ひとりの関係性が薄くなることどういったことが起こるのでしょうか。よく耳にするのが「組織の誰が何を知っているのか(Who knows What)」がわからなくなってしまうというお話です。
仕事では、「〇〇についてわからないときは、この人に聞くといい」ということがわかっているだけで仕事がスムーズに進みますよね。これは組織学習研究で「トランザクティブ・メモリー」と呼ばれるものです。
組織の中で、「この分野やこの仕事のことを知りたいときは、この人に聞くといい」ということが周知され、知見が共有化されている状態のことを指します。
こうしたトランザクティブ・メモリーの研究によると、トランザクティブ・メモリーが高い企業ほど組織パフォーマンスが高いと、多くの実証実験で証明されています。組織内の一人ひとりが他者の関心ごとや詳しいことを知ることで、組織のパフォーマンスも大きく向上させることができるわけです。
コロナ禍によってリモートワークが浸透したのは、ここ2~3年ほどの出来事です。その間に新入社員や中途入社社員、異動者など、新たに理解していかなければならない社員も増えて、トランザクティブ・メモリーが低い組織がまだらにできているのが現状ではないでしょうか。そのため、意図的にトランザクティブ・メモリーを高める施策を打っていかなければならないのです。
「タニモク」によるトランザクティブ・メモリーの強化
トランザクティブ・メモリーを高めるためには、「組織の誰が何を知っているのか(Who knows What)」を、より多くの社員が知るキッカケをつくる必要があります。
つまり、コミュニケーション量の増加がひとつの鍵です。
また、トランザクティブ・メモリーの高い組織では、直接対話が行われる傾向が強いという報告もあります。顔を合わせたコミュニケーションの量と対話が大事になるわけです。
そのため、我々がおすすめしたいのは、トランザクティブ・メモリーを高める「タニモク」ワークです。実際に、「タニモク」は限られた時間の中でお互いの仕事内容や個人の強みや悩みなどを打ち明けるため、自然にトランザクティブ・メモリーが高まるワークになっています。また下記の記事の通り、工夫次第でより効果的に社員の専門領域をシェアすることも可能です。
「タニモク」は、社員一人ひとりの成功体験をシェアする
「タニモク」は、リモートワークが浸透し、トランザクティブ・メモリーが低下してしまった組織の処方箋になりえると考えています。
また、お互いの部門や職種を超えて目標をたてあい、振り返りを行うことで、それぞれの部門や職種の成功体験や失敗体験などの「仮想体験」を共有することもでき、組織のナレッジが広くいきわたるのではないでしょうか。
例えば、営業メンバーがマーケティング部門のメンバーの成功体験や失敗体験を。
逆に、マーケティングメンバーが営業部門のメンバーの成功体験や失敗体験を知るも可能です。
また、管理職とメンバーの組み合わせによっては、マネジメントの仮想体験をシェアすることにもつながり、組織に広くナレッジを共有する仕掛けが「タニモク」でつくれるはずです。
こうした「なぜ、この人とこの人がつながっているの?」と思える関係が組織に増えることが、より多くのイノベーションの種を育てる土壌にもなると思います。
「社員の一人ひとりの関係性が薄くなる」「組織の連帯感が失われている」といった組織の関係性について課題があれば、ぜひ「タニモク」を試してみてください。