【イベントレポート】第3回「タニモク」ファンミーティングを開催しました
こんにちは!「タニモク」編集部です。
2022年3月23日、「オンラインでできる強いつながり」をテーマに、「タニモク」ファンミーティングを開催しました。
この記事では、イベントの内容や参加したみなさんの様子をお伝えします。
イベント概要
ファンミーティングとは、「タニモク」ファンのための交流イベントです。
2018年9月に立ち上がった「タニモク」。
自分のことは意外とわからないけれど、他人に見てもらうと自分のよさや強み、選択肢が見えてくるーーそんな機会をより広めていきたいと、『みつけてもらおう、自分の活かし方。』をコアメッセージにプロジェクトを進めてきました。
台本や映写データは無料で公開しており、さまざまなシーンで自由にご活用いただいています。
そのような中で、『「タニモク」のいろいろな使い方が知りたい』『よりよくファシリテーションを行いたい』という要望をいただくことも増えてきました。そこで、「タニモク」のナレッジを共有しあい、よりよく活用することを目的として、半年に1回ファンミーティングを開催しています。
今回のファンミーティングでは、ゲストトークと対談の後、ワークショップを実施し、グループで出た内容を全体に発表。司会は、「タニモク」プロジェクトリーダーの三石原士が務めました。
2022年3月までの振り返り
「タニモク」は、学校や企業、コミュニティ、プロアスリートのセカンドキャリア支援など、さまざまな場面でご活用いただいており、最近では海外でも利用されるようになりました。
2021年11月には、「キャリアを考える機会を世の中に提供している」として、株式会社SmartHR主催の「WORK DESIGN AWARD」でキャリア部門賞を受賞。対外的にも評価をいただける取り組みになってきています。
今回のテーマは、「オンラインでできる強いつながり」
コロナ禍においてテレワークやオンライン授業が普及している昨今、「タニモク」事務局には、「会社で同期同士のつながりが作れない」「学校で友だちを作る機会がない」といった悩みや相談が寄せられています。
本当に、オンラインでは人とのつながりや強い絆をつくることはできないのでしょうか。
今回は「オンラインでできる強いつながり」をテーマに、オンラインの課題にどのようなアプローチができるのかを探っていきました。
ゲストトーク×対談
ゲストは、Potage株式会社 代表取締役の河原あずささん。コミュニティ・アクセラレーターとして、イベント企画や企業のコミュニケーションデザイン、組織開発などを手掛けていらっしゃいます。実は、「タニモク」が正式に発足する前の2017年にβ版を体験いただき、現在も応援してくださっている恩人のような存在です。
今回は三石との対談を通して、ご自身の「タニモク」の活用方法や、オンラインコミュニケーションのポイントなどをお話しいただきました。
河原さん:「タニモク」との出会いは2017年の4月で、同じグループになった人とはその後のつながりもあっておもしろかったです。2018年からは『コミュニティづくりの教科書』の共著者である藤田祐司さん、若宮和男さんと、半年から1年に1回のペースで「タニモク」を行っています。
イベントでやる「タニモク」ではランダムなチームが組まれますが、メンバーを固定して定期的に行うことで、「あの後どうだった?」「このあとどうする?」とお互いをメンタリングする関係になれていると感じます。
三石:僕も毎年同じメンバーで「タニモク」をやっています。面識のない方とやる「タニモク」では客観的にこれまで目につかなかったものが得られるけれど、つながりはすぐにはできない。「この人と継続したい」という人と繰り返しやっていくと、その人の背景やバックグラウンドがわかってきて、関係性ができあがってくるのではないかと思います。
河原さん:そうですね。判断に迷ったときは、お二人のことが自然と頭の中でリフレクションされます。自分の主観とともに、客観的に今の状態をモニタリングする思考が埋め込まれるというか、お二人の性格も言われる傾向も理解しているので、「今回もこういう判断をするほうがいいときっと言うだろうな」と常に考えるようになりました。
近年は、自分の目指す方向や軸を大事にしながら、的確にビジネスや物事を判断していくことがより重要な世の中になっていると思うんです。主観で進むとちょっと曲がったところに行ってしまいがちなときに、客観的な声を「判断を間違わないためのものさし」として置いておけるのは大きいですね。
三石:オンラインでもリアルでも、1回だけでは強いつながりは生まれにくいので、繰り返しやることが大切ですね。ただ、それが「リアルだからできる」「オンラインだからできない」という話になりがちです。なぜ「オンライン・オフライン」という話になってしまうのでしょうか?
河原さん:リアルの方がいいと思うことは多々ありますね。リアルな場づくりって、一体感を持ちながらワイワイすることや集まること自体が目的の1つなので、おさえるところをおさえさえすれば、みんなが自然と仲良くなり、全体の熱量も上がって、さまざまな関係が自走するというループを比較的簡単につくることができるんです。
けれど、リアルな場づくりをオンラインにそのままスライドすると、「リアルのマジック」が一旦通用しなくなって、ファシリテーションがとても難しくなります。10人が一斉にパネルに表示されてみんなで楽しく雑談するって、プロのファシリテーターでも至難な技です。だから、オンラインの交流に対して「なんだか盛り上がらないな」「しんどいな」と感じる人は少なくないように思います。それゆえに、一時期流行していたオンラインの飲み会も、だいぶ数も減って落ち着いてきたのではないでしょうか。
三石:わかる気がします。では、オンラインのコミュニケーションで強いつながりをつくるポイントはありますか?
河原さん:リアルとは別物と割り切って、違うコミュニケーションのルールをつくるしかないですね。その中で、「タニモク」のように一種のフォーマットがあることが強いと思います。「均等にしゃべる」「話をするターンとフィードバックをするターンを分ける」というルールづけができると、誰が入ってきてもコミュニケーションをきちんととることができます。
例えば、ブレイクアウトルームに移行する前に、「最初の10分でこれを」「次の10分でこれを」「最初は髪の毛の長い人から話し始めてください」とガイドをしてから送り出すと、コミュニケーションが成立しやすいです。
「30分間このお題で自由に話してください」と野放しにしてしまうと、ブレイクアウトルームでシャイな人がかたまってしまったときに「場違いな場所にきてしまった」「時間が余ってしまう、どうしよう」と感じる人が出てしまいます。オンライン・オフラインそれぞれの特性をきちんと把握したうえで、ファシリテーションのデザインをしていくことが重要です。
三石:特性をきちんと理解しておさえるところをおさえれば、オンラインもオフラインも関係ないということですね。「細かくガイドを設定する」「目的をはっきりさせる」と、つながりが生まれやすく、みんなが盛り上がりやすくなりますね。
河原さん:それから、さまざまな研修をやっていて気付いたことは、「対話の特性」が違うということです。リアルな場では、ワーク中に周りもガヤガヤしているので、テンションが高く発散型の思考になる傾向があります。勢いでこれまでには考えつかなかったアイデアが生まれることもあるので、アイディエーションなどに向いています。
一方で、オンラインの各ルーム回っていくと、しっぽりと自分の本音をとうとうと語っていて、「個室に入ってしっぽり話す」という状況がバーチャルで再現されていることがあるんです。そうして対話が内省的にどんどん向かっていくと、リアルな場では出てこないような手触りある感情が現れたり、沈黙も許容できる空間が生まれたりする。これがオンラインコミュニケーションのおもしろさですね。
「発散的コミュニケーション」と「内省的コミュニケーション」のどちらが優れているということはないのですが、自身を振り返って言葉の精度をあげていくプロセスにおいては、オンラインが向いている面もあるのではないかと思います。
三石:リアルな会話は話題の拡散性がおもしろい点ですが、オンラインではガイドに沿って目的に向かって集中するので、質問を受けて答えるやりとりを繰り返すと、深い内省につながる可能性は高いですね。そういった意味でいうと、1on1をオンラインでやるのもいいかもしれないですね。
河原さん:そうですね。会社にいると、環境や周りの状況が気になってしまいますが、オンラインはその2人しかいないことが明示されて心理的安全性が確保できるので、本音ベースの対話がしやすいと思います。
【参加者からの質問】:リアルからオンラインに切り替えた研修の失敗事例や、成功事例を教えてください。
河原さん:僕がオンラインで絶対にやらないのは、スライドを画面共有したまま読み上げるプレゼンです。プレゼン力に自信がある方はそれでも話に引き込めると思うのですが、僕くらいの力ではそれで聞き手を満足させられる自信はありませんね。
この「パワーポイント読み上げ」のプレゼンをオンラインでやると、ただ動画アーカイブを見ているのと同じになり、没入感が薄れてしまうので注意が必要です。やる際には、チャットでコミュニケーションをとったり、「●●さんいかがですか」とイントラクションをきちんとつくったりすると、場への没入感が変わっていいと思います。
「学びは体験」なので、いかに「ポジティブな空気で参加できるか」「聴いている人を引き込むか」ということを意識して、その場でしか生まれない関係を構築することが大切です。
反対に、オンラインのいいところは、全員の顔が等しく見えるところですね。退屈していそうだなと思ったら話題を切り替えられるし、ちょっとした質問を入れてメリハリをつけることもできます。
緊張感が薄れてきたときには、1分間「瞑想の時間」をつくることもあります。それだけでリフレッシュできますし、没入感が生まれるんです。
リアルの研修やイベントはつい近い席の人を見てしまうなど、全員の顔を等しく見ることは難しいですが、オンラインではみんなが等しく画面に写るので、きちんとコミュニケーションをとることで満足度を上げられると思います。
三石:僕は、時間配分を間違えると失敗するし、反対に、きちんとやることで大成功につながると思っています。「タニモク」は、ゆとりを持った時間配分にしていないんですね。もちろん、対象者によって多少調整はしますが、ギリギリでできるところを狙って、いい意味で緊張感を保つようにしています。集中が切れないように注意しながら、絶妙な時間配分とガイドをセットにできると、オンラインは成果が出やすいと思います。
河原さん:僕も短く設定する派です。アンケートで「もう少し時間あったら…」といただくことも多いんですが、締切は人のパフォーマンスを上げるので、この感覚をもって臨んだ方がいいと思っています。
ただ、ロスタイムという概念はよく使っていて、進捗をみて「ちょっと足りないという人は手を挙げてください」と声をかけて、手が挙がるようであれば少し延ばすようにしています。最初から10分とするのではなく、8分で設定してロスタイムを2分とする方が、結果的にみんなのパフォーマンスが上がります。
オンラインは自宅から参加することが多いので、余裕を持った時間だと気が散ってしまう可能性があるんですよね。目的や作業にフォーカスさせたいときには、ギリギリ乗り越えられるハードルを設定し続けることがポイントです。ただし、ずっと集中するのは疲れるので、長い研修のときには1時間に1回など、休憩時間を必ず入れることも大事ですね。
三石:ついリアルなコミュニケーションに目が向きがちですが、オンラインでもポイントをおさえて継続的に行えると、リアルに負けない関係づくりができそうですね。
対談の最後には参加者から「1分間の瞑想の内容を教えてください」という質問があり、河原さんにその場で実践もしていただきました。
河原さん、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!
河原さんの「タニモク」の活用事例は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
ワークショップ
続いて、4人1組のグループに分かれてワークショップを行いました。
を基準にしてお名前の前にアルファベットを記載いただき、それぞれがバランスよくなるようグループを構成。具体的なワークは、以下のような流れで進めていきました。
ワークが終わったところで、全体で内容をシェアしていただきました。
各グループで話された内容の一部をご紹介します。
記念撮影
グループの話し合いでは時間いっぱいお話しいただき、熱量の高さが伺えた今回のファンミーティング。最後には記念撮影を行い、たくさんの笑顔を見ることができました。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
「タニモク」のこれから
私たちは、オープンソースを提供するだけでなく、「タニモク」の使い方やナレッジを共有することで、自分の強みや活かし方を見つける機会が世の中に広がっていってほしいと考えています。「タニモク」を実施したら、ぜひSNSなどで「#タニモク」をつけて投稿していただけると嬉しいです。
また、企業の方々から「社員の関係性」についてご相談いただくことも増えており、相互に目標をたてあうことでオープンに悩みを共有しつつ、選択肢を得られるきっかけをつくれるような「タニモク」の仕組みも模索中です。形になったところで、改めてシェアしたいと考えています。
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