【活用事例】キックオフ内のコンテンツとして開催。「タニモク」で横のつながりを構築
こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは、「タニモク」を主催された方にインタビューをし、実施内容や開催時の工夫などをご紹介しています。
今回ご紹介するのは、「タニモク」を提供するパーソルキャリア株式会社内で開催した事例です。人事本部内のキックオフでひとつのコンテンツとして行われた「タニモク」について、運営担当の北野高英さんと、ファシリテーターを務めた「タニモク」プロジェクトオーナーである三石原士に、当日の様子を聞きました。
実施企業と参加者
実施背景と実施前に感じていた課題
ーまずは、今回「タニモク」を実施することになった背景と理由について教えてください。
北野さん:今回は、人事本部として半期に一度開催し部員全員が集うキックオフ内のひとつのコンテンツとしての「タニモク」を実施しました。実施背景としては、人事本部内の“横の関係性”をより深めることでした。
ー人事本部内の“横の関係性”というのは?
北野さん:人事本部は全体で約150名、6つの部署にそれぞれ約25名が所属しています。コロナ禍前は全員が出社していたので、オフィスで顔を合わせたり気軽にランチに行ったりしていたのですが、コロナ禍以降はフルリモート勤務になりました。その結果、オフィスで偶然会う機会がなく、コミュニケーションに変化が生じてしまい、部門を超えた接点がなくなってしまったんです。
ー部門を超えたつながりが乏しくなってしまったという課題があっての「タニモク」だったんですね。
北野さん:そうですね。この課題を解決すべく、今回のように一度に部門のメンバーが集まる場で横のつながりが生まれる機会を提供したかったんです。このキックオフを使ってコミュニケーションのきっかけをつくり、人事本部の社員同士が成長を後押ししあえる関係をつくりたいと思い、「タニモク」を実施しました。
実施内容
ー具体的にはどのように実施したのでしょうか?まずは時間配分を教えてください
北野さん:今回は3時間のキックオフの場に「タニモク」を織り交ぜました。キックオフ全体の時間配分をお伝えしますと、以下のようになります。
三石:「タニモク」は、キックオフ内でのレクリエーション的な意味合いも含め、真ん中の1時間を使って実施しました。
ー1時間という短時間開催の場合、時間設定も工夫されたのではないでしょうか。「タニモク」ワークショップのタイムテーブルはどのように行いましたか?
三石:基本的には、弊社で2022年5月に行った経営戦略本部でのキックオフ内「タニモク」の流れを踏襲しています。通常の「タニモク」は2時間を目安に行いますが、今回は半分の1時間でワークしました。
開催時に意識したポイント
ー1時間での「タニモク」開催にあたり、意識したことや工夫した点を教えてください。
三石:宿題は事前にやってきてもらい、当日の説明も極力少なくし、1時間はワークに集中してもらうようにしました。
また、始める前に「本来は2時間のワークショップのため、時間内では完結しません」と伝えました。時間が足りなくなるはずなので、そこを逆手にとって「伝えられなかったことがあれば、Teamsのメッセージでコミュニケーションをとってください」と促すことで、ワークショップ後にも継続的にコミュニケーションが生まれるよう工夫をしました。結果、実際にワーク終了後もチャットでのやり取りが生まれていたようで、主催者側として嬉しく思います。
ーグループ分けはどのように行いましたか?
北野さん:横のつながりを持つことが目的なので、同じグループになる3人は部署がバラバラになるように振り分けました。
ー今回は参加者が120名と多いですが、グループ分けは事前にしておいたのでしょうか?
北野さん:いいえ、当日その場で振り分けました。キックオフの事前アナウンスで、オンラインに入ったら名前の表示を「所属部署・名前」にするようお伝えしておきました。そして「タニモク」が始まる前の組織長からの方針説明の1時間を使い、リアルタイムで表示された所属を見ながら、グループ内のメンバーの所属部署が一致しないようにグループ分けをしました。
事前にグループ分けをしておくことも考えたのですが、欠席者がいた場合の対応が難しく、1時間あれば当日対応のほうがスムーズだと判断し、当日振り分けました。実際、1時間もかからずグループ分けは完了しました。
ー参加者が多いオンライン開催だと、ブレイクアウトルームに入れないなどトラブルも多くなりがちと聞きますが、その点について工夫した点があれば教えてください。
三石:今回は人数が多いことに加え、PC以外にスマホで参加するメンバーもいて、通信不備が必ず出てくるだろうと想定していました。その対策として、メインのテクニカルサポート1名に加え、ほかにも5名がサポートメンバーとしてフォローする体制を整え、Teamsでサポート用のグループチャットを立ち上げ、本番を迎えました。
北野さん:当日は「ブレイクアウトルームに入れない」「間違って退出してしまう」などのトラブルがありましたが、随時、人海戦術でサポートしていきました。
三石:例えば3人のワークの時、1人が入れないとなると残りの2人は「どうしたら良いのだろう?」と戸惑ってしまいます。だから、そうしたトラブルが発生した場合、サポートメンバーが連携してすぐにグループに入ることで、ワークが滞りなく進みました。こうしたサポート体制を手厚くしておくことがオンライン上だと非常に大切なんです。今回は人事部門ということで、普段から社員向けのオンライン研修の運営を行うサポートメンバーが多かったので、緻密な連携を図りながらサポートできていましたね。
ー手厚いサポートがあると、参加者も不意の事態に陥った時に安心ですよね。ほかにも配慮した点などはありますか?
三石:「タニモク」のワークショップですが、今回はあえて「目標設定」という話はあまりしていないんです。というのは、人事本部で目標設定というと、「MBOの目標管理」のように捉えて、会社の業務目標をどのように決めるかというワークになってしまうから。イベントの趣旨がずれてしまうと思ったんです。
北野さん:あくまで今回の「タニモク」の目的は、人事本部メンバーの横のつながりを構築し、みなさんの仕事を知ることだったので、ワーク内では「1年後のその方の理想の姿を想像して、その実現のための行動をワンポイントで書いてくださいね」と話し、進めていきました。
ー参加者の属性や特性を踏まえた進め方は、「タニモク」の充実度にも関わってきそうですね。
参加者の声
ー実施後、参加者からはどのような声がありましたか?
北野さん:アンケートで『Q.「タニモク」はいかがでしたか?』とひとつだけ質問し、フリーコメントを寄せてもらいました。最も多い回答は「楽しかった!」でした。具体的な回答の一部を紹介します。
北野さん:私が個人的に嬉しかったのは「キックオフがあっという間でした!」というコメントです。キックオフを3時間行うと、一部の社員の方からは「時間が長い」「もっと短くしてほしい」というご意見をいただくのですが、今回はキックオフ内に「タニモク」を入れたことで、体感時間をいつもよりも短くできたようです。
ーキックオフなどに「タニモク」を組み込むことで、そういった相乗効果も生まれるのも嬉しいですね。ほかに参加者から寄せられた声はありますか?
北野さん:組織開発担当のメンバーと採用担当のメンバーがいるグループで「タニモク」をしているとき、組織開発担当のメンバーが目標に「退職率を下げる」と話したんですね。それに対して、採用担当のメンバーが「退職率の目標は0%が良いんじゃないですかね!」と無責任に言い放ったんです。組織開発の担当にとっては「退職率が0%」という発想は、感覚的にありえない数値なんです。でも採用担当のメンバーからあっさりそう言われると、それもひとつの考え方だなと思い刺激になったと話してくれました。当事者だと思いつかない目標をたててくるというのが「タニモク」のおもしろさだなって。直接関わっていない分野に対してだからこそ、先入観を持たずに言えることって、実はすごくあるんだなと改めて感じました。
担当者コメント
ー運営側として、今回の「タニモク」を実施した感想をお聞かせください。
北野さん:ひと言で「狙い通り!」でしたね。今回の開催目的である人事本部内の横の関係性のきっかけづくりになったという手応えを感じています。ただワークの最初、メンバーのみなさんがお互いにドギマギしているのを見て、人事本部内のメンバー同士なのにそこまでドギマギしてしまうくらい関係性が薄れていたことが、私としては衝撃でした。それだけ今までが何もできなかったと思い、反省しました。そういう意味でも、今回の「タニモク」を通じてとても良い機会が提供できたと感じています。
ー参加者のみなさんが最初はドギマギしていたとのことですが、ワーク後の様子はいかがでしたか?
北野さん:お互いさらけ出したあとの何とも言えない一体感は生まれていたのかなと感じています。人事本部内のワークということで、すでにお互いの業務を知っていたら、あまり刺激がなく盛り上がらないかと危惧していましたが、全くそのようなことはなく、お互い興味津々に聞き合っていたのが印象的でしたね。
ー実施した後だからこそ気付いた課題はありましたか?
北野さん:1時間という設定に対し、「時間が足りなかった」「もっと話したかった」という声も多かったんです。運営側としては想定内のリアクションではあるものの、もう少し時間を割いたほうが良かったのでは、という思いもあります。1時間ではなく、1時間30分くらい時間を割いても良かったのかもしれませんね。でも、この「物足りない」という状態が返って良かったのかもしれないという気もしており…何が正解かわからないですけれどね。
ー参加者の「もっと話したかった」という声が、その後の自発的なコミュニケーションに続くと嬉しいですね。今後も「タニモク」を活用していきたいと考えていますか?
北野さん:ぜひまた開催したいですね。今度はオフラインで行いたいです。関係性の構築には、オンよりオフというのは定石かなと思うので、きっとオンラインよりはやく打ち解けられそうですよね。オフラインなら、「タニモク」が終わってからそのまま参加者同士が食事に出かけるといったこともできますしね。新型コロナの感染状況などとの兼ね合い次第ですが、次回はオフラインでの開催を検討したいと思っています。
また、開催にあたっては参加者の属性を絞るのもおもしろそうだなと感じています。例えば女性だけの参加に限る、年代を揃えてみる、パパやママだけを集めてみるなど、参加者の属性を揃えることで、お互いの共通項をもって話してもらえれば嬉しいなと思うんです。「タニモク」における組み合わせの妙はいろいろ考えられると感じましたね。
「タニモク」だけに限りませんが、こういったワークショップはあくまでもきっかけづくりでしかないと思っています。人事本部内で本質的にこれを成果に結びつけるというのは、各部署を横断した取り組みが自発的に出てくるなど、そういったことが出てきて初めて成果があったと言えるのではないでしょうか。ぜひ今回の「タニモク」をきっかけに、そういう風土にしていきたいですね。
「タニモク」編集部より
「タニモク」が会社内のつながりを生み、普段関わらない部門の人とワークすることで社員同士の関係性構築に役立つということがよくわかる事例でした。コロナ禍でリモート勤務が増えた企業も多く、社員同士の関係性が薄れたと感じる方も多いのではないでしょうか。そんな状況で「お互いにコミュニケーションをとってください」と声をかけても、自発的に行動できる社員は少ないでしょう。「タニモク」を活用し、ワークショップをしながら自己開示や関係性づくりを行う方法も取り入れてみてください。
今回の事例は、大人数でのオンライン開催や、短めの時間設定で行う際の参考にもなると思いますので、活用してみてくださいね。実際に「タニモク」を体験した後は、「#タニモク」をつけて感想を発信していただけたら嬉しいです。みなさんの活用方法をぜひシェアしてください!