【活用事例】キャリア教育に貢献『アスリート×「タニモク」』
こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは「タニモク」を主催された方々にインタビューを行い、取り入れた経緯や活用方法、得られた効果などをご紹介しています。今回は、現役・元アスリート向けのキャリア教育講座の中で実施した「タニモク」をご紹介します。
アスリートキャリアアカデミーとは
アスリートキャリアアカデミーは、HALF TIME株式会社が運営している現役・元アスリート向けのキャリア教育講座です。「アスリートが現役中もその後も、より充実したキャリアを歩める世界を実現したい」という想いのもと、アスリートが自分自身のキャリアについて考え、目指したいキャリアを描き、そのために自ら選択できる力を身につけられるようサポートしています。講義やグループワークを通して自己分析や目標設定などに取り組むなど多岐にわたるプログラムを行い、アスリート同士の交流の場ともなっています。
2021年2月から4月に第1期がスタートしたアスリートキャリアアカデミーは、その後2021年6月から9月に第2期が、2022年1月から3月に第3期が開講されました。これまでに、オリンピアンや日本代表を含む80名以上の現役・元アスリートが受講。サッカー、野球、自転車、柔道、水泳、陸上、空手、ボクシング、ハンドボール、サーフィンなどが多種多様な競技で活躍中、または活躍後引退したアスリートたちが参加してきました。
「タニモク」実施のきっかけ
ーアスリートキャリアアカデミーで、「タニモク」を実施することになった背景を聞かせてください。
磯田さん:2021年2月の第1期開講前の2021年の年始頃のことです。アスリートの方々のキャリア教育に向けた講座で、どのような内容のコンテンツが良いか検討している時、アスリートキャリアアカデミーの学長の大浦征也さん(パーソルキャリア株式会社執行役員)から、「タニモク」という新しいメソッドがあるとご提案いただきました。
「タニモク」に期待したこと
ー「タニモク」を知って、どのような期待を持ちましたか?
磯田さん:このアカデミーは、1期あたり全12回の講義で構成され、3カ月間週1回、基本的にはオンラインで行っています。全体の講義バランスを考え、アスリートのみなさんが自分の目標設定ができるカリキュラムを探していたので、講義内容にとても合っていると感じました。
ー全12回のコンテンツの中で、「タニモク」を実施したのは何回目だったのでしょうか?
磯田さん:第1期と第2期は第10回目、第3期は第6回に実施しました。「タニモク」の前はアスリートの方の講義を聞いたり、自己分析したり、自分の中でフレームワークに沿ってライフチャートを書いたりという内容が多かったですね。そういう受講内容を経て、いよいよアウトプットするコンテンツとして「タニモク」を実施。いいタイミングで実施できました。
ー磯田さんもスポーツ経験があると聞きましたが、目標設定についてはどのようにお考えですか?
磯田さん:私は幼少期からサッカーをやっていて、実はプロになりたかったんです。そのために昔から目標をたててきていて、学生の時は「大阪で一番になる」「大阪府選抜に選ばれる」など目標を書いて自分の部屋の壁に貼っていました。大学でサッカー選手としてプロの道へ進むのをあきらめた時も、それまでやっていた目標設定のスキルが役立ったんです。今後、社会でどう活躍しようかと考え、自分にはどういう選択肢があって、その選択肢の中でどれを選ぼうか考え、そのためのアクションとして何が必要かということをノートにしっかり書いて、目標設定していきました。
ー磯田さんご自身が、目標設定の大切さを実感されていたんですね。
実施前に感じていた課題
ー「タニモク」を実施するにあたり、アスリートの方ならではの課題を教えてください。
磯田さん:課題は2つありました。1つ目は、アスリートの多くの方がこれまでに自己分析をした経験があまりないということです。社会で働く大半の方は、学生時代の就職活動をきっかけに、自己分析をして自分のことを知る機会を得ていますが、アスリートの方々は一般的な就職活動をしていないので、どうしてもそういう機会に触れることが少ないのです。スポーツに邁進しているので、そもそも人生において自分の過去をしっかり振り返り、自分自身のことを知り、引退後を含めた自分の未来を長期的に設計していこうという経験をしたことがない人が大半なんです。
ーもうひとつの課題とは?
磯田さん:アスリートの方は、競技内でどうやって競技力を高めるかという思考はとても強いです。その中でのPDCAとして、自分の弱点を考え、弱点を克服するために何をするか考えて、実際にそれにコミットするということはとても強い。ただ、それを自分ひとりでやっているアスリートはかなり少ないと感じています。競技力が高くなり、有名になればなるほど、コーチや監督、トレーナーに頼りながらやっているアスリートが多くなります。なので、サポートしてくれる人がいなくなったときに自分の力を存分に発揮できるか、という課題があるのです。
アスリートキャリアアカデミー流の「タニモク」
ーこれまで3回実施されていますが、回数を重ねての印象は?
磯田さん:第1期で初めて取り入れた時、非常におもしろいコンテンツだと私自身感じました。それは、「タニモク」が目標設定のきっかけになるのはもちろん、このアカデミーの課題のひとつについての解決策にもなりました。その課題とは、アスリート同士にオンラインでいかに交流してもらうかということなのですが、その点において「タニモク」は参加者が過去について話し、未来に対してアドバイスし合う。オンラインでも人々の関係性を構築できるということがわかりました。
開催時に意識したポイント
ー「タニモク」を実施するにあたって、意識したことを聞かせてください。
三石:依頼をいただいた立場でお話すると、プログラムの流れを非常に意識させてもらいました。「タニモク」の講座の前にライフチャートを作成し人生を深堀りし、どんなところにモチベートしたのか掘り下げたり、キャリアプランの基礎を座学で学んでいたりしました。そうしたプロセスを活かして、他のアスリートの方々が一番モチベートしたこと、苦しかったこと、それを乗り越えた経験、競技以外で興味関心を持っていることを踏まえた上で、「こんなことやってみたらどうですか」「私だったらこんな目標をたてます」という提案を「タニモク」でしてもらいました。ワークの際には、アスリートの方それぞれの価値観、今の持っているもの、ポテンシャルをうまく整理することが大切と伝えました。
ー講座全体の流れを見ると、インプットの後に「タニモク」が計画されていますね。しっかり内省した段階で、アウトプットしたり他の人の考え方に触れたりする機会があるのは良い流れだと思います。他に意識したことはありますか?
三石:時間配分ですね。参加されるアスリートのみなさんは、レギュラーシーズンで試合があったり、大会があったり、合宿があったりと忙しい中で参加されています。そのため、短い中で「タニモク」の効果を実感していただかなければなりません。ですので、あえて短めの時間を設定し、エレベーターピッチのように、短い時間で自分の考えや意見をどう相手に伝えるのか、トレーニングになればいいなと。短い時間でプレゼンをするというのは、ビジネスの中でも大事なポイントになるのではないでしょうか。
磯田さん:時間については、私もとても重要だと思っています。「タニモク」で三石さんにファシリテートしていただいている中で、時間をきっちり守ってもらう進め方が上手だと感じました。例えば「30秒以内に話してください」「5分以内にディスカッションを終えてください」とおっしゃって、アスリートのみなさんもしっかり時間を守る。簡潔に話せないアスリートの方も多く、「タニモク」はそういう面でもいいトレーニングになったと思います。
得られた効果
ー実際に「タニモク」をやってみて得られたものはありますか?
磯田さん:受講生のみなさんは、それぞれ視野が広がったようです。実際、アカデミーを経て転職された方もいます。ある元プロの選手が引退後チームでフロントスタッフとして働かれていたのですが、自分のキャリアを振り返り、新しいキャリアを歩もうと判断されて、新しい一歩を踏み出したのです。
ー行動に移した方のお話を聞けると嬉しいですね。ところで、アスリートの方のセカンドキャリアはどのような状況なのですか。
磯田さん:アスリートの方が引退した時、OBやOG、縁故によって次の就職先を見つける方が非常に多いのですが、それだと自分のキャリアを考えて、適切な選択肢の中から適切な選択をするということがなかなか難しいのではないかと思います。
三石:「タニモク」をすることで、自分のポテンシャルや知見、経験をどう生かしていくか考え、よりよいキャリアの構築に繋がっていくと嬉しいですね。
ー受講したアスリート同士の関係性での変化はありますか?
三石:私自身がアスリートの方々の目標を聞かせていただき、その後のニュースでその方が移籍されたと聞くと、さらにその方のその先のキャリアが気になるんですが、受講したアスリートのみなさんもきっと同じなんじゃないかと感じていています。一緒に「タニモク」を受講したアスリート同士が目標をプレゼンして共有していることで、いい意味でのプレッシャーや後押しになっているのではないかと思っています。応援し合う関係性と言うのでしょうか。
磯田さん:それはありますね。実際、TwitterやInstagramでフォローしあっている方々もいます。アスリートキャリアアカデミーでの出会いをきっかけでお互いの状況を常にキャッチアップして、サポートしあうというのは非常に嬉しいですね。受講後、アスリート同士が直接会ったという話も聞いていますし、私も含め少人数の食事会もしていて、人脈づくりに繋がったと思っています。
三石:みなさんの競技や経験が多岐にわたり、これからプロ化が進む競技もあれば、もうプロ化して長い歴史を持つ競技もある。また、国内メインでやっている方もいれば世界を転々としたアスリートの方もいて、みなさんそれぞれの観点や視点がある。そんなアスリートの方々が行う「タニモク」によって、みなさんの視野が広がったのではないかという印象を持ちました。
参加アスリートの声
「タニモク」にさらに期待すること
ー今後に向けて、「タニモク」にさらに期待することはありますか。
磯田さん:参加者のキャリア教育を目指すアスリートキャリアアカデミーにおいて、「タニモク」は非常に貢献度が高いということがわかりましたので、さらにより良いコンテンツになっていくと嬉しいです。「タニモク」を行うことで、アスリートのみなさんにご自身のキャリアを長期的に考えるきっかけを与えること、受講者同士を交流させることがさらに役立ってもらえるといいですね。今後の展開としては、アカデミーの同窓会を開きたいですね。実際に顔を合わせて会うことのできる機会を提供して、今後も関係を築いていけたらいいな、と思います。
「タニモク」編集部より
磯田さん、三石を交えてお話いただきありがとうございました。オリンピアンの方や、世界で活躍したり大きな業績を残したりしているアスリートのみなさんが「タニモク」をすることにより、新しいキャリアを構築しているということを伺い、編集部として光栄に思いました。人生100年時代の今、キャリア構築はスポーツ界に限らずどんな業界でも大切なことではないでしょうか。そんなキャリアアップの一助に「タニモク」が貢献できれば嬉しいです。
「タニモク」は、企業や学校はもちろん、今回のようなアスリートの世界でも活用されています。少しでも興味のある方、ぜひ「タニモク」を体験してみませんか。