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【活用事例】はたらく環境をより良いものに『コワーキングスペース×「タニモク」』

「タニモク」は3~4人1組で目標をたてあうことで、自分の活かし方をみつけるワークショップです。
イベント ▶マニュアル ▶目次 ▶活用事例

こんにちは!「タニモク」編集部です。
noteでは、「タニモク」を主催された方々にインタビューを行い、開催時の工夫や得られた効果などをご紹介しています。

今回お話を伺ったのは、沖縄県でコワーキングスペースやシェアオフィスを運営する「howlive」のコミュニティマネージャー、椎名修一さん。コミュニティのイベントとして「タニモク」を実施されたという椎名さんに、開催への想いや今後の活用方法についてお話しいただきました。

実施企業と参加者

◆企業名:howlive(株式会社マッシグラ沖縄タイムス)
沖縄県内で、働く人を中心に考えたワークプレイス(シェアオフィス / コワーキングスペース)を運営。
“「沖縄ではたらく」をより良く”を軸とするコミュニティも運営中。
◆実施時期:2022年7月12日(火)16:00~18:00
◆実施場所:タイムスビル店(那覇市)でのオフライン開催
◆実施頻度:1回のみ。今後も開催を予定
◆活用シーン:はたらく人々をつなげ、より良いはたらき方を探索するイベント「howlive Event Week!!!」の第1弾として
◆対象者:那覇市久茂地エリアではたらく一般の方、howliveメンバー
◆参加人数:8名


howliveとは

ー初めに、howliveの事業内容についてお聞かせください。

椎名さん:沖縄県内で展開しているhowliveは、働く人を中心に考えたワークプレイス(シェアオフィス / コワーキングスペース)です。恵まれた自然環境と豊かな文化に囲まれた沖縄だからこそ、すべての人々が健康に、快適に、安心して働き、アイデアを広げ、創造性と生産性を高めることのできるワークプレイスが必要だと考え、現在5店舗(沖縄本島4店舗、宮古島1店舗)を運営しています。

今回「タニモク」を開催したのは、那覇市久茂地にあるタイムスビル店。那覇空港から車で10分ほど、ビジネス街の中心に位置しています。沖縄の事業者でお勤めの方、出張やワーケーションで県外からいらっしゃる方のどちらにも便利に使っていただける立地です。

また、タイムスビル店から車で1時間程の距離には、目の前にビーチが広がる、豊かな自然に囲まれた読谷残波岬店があります。それぞれの店舗に特長があるので、その日の気分や仕事の内容に応じて、利用店舗を選ぶメンバーさんもいらっしゃいます。例えば、那覇から読谷へ向かう道中は、都市の景色から海を感じる景色へと変わっていき、都会のモードから自然のモードに気分を切り替えることができます。気軽に「いつもと違ったスイッチを入れられる」「はたらく場所を選べる」というのは、沖縄ならではのことなのかなと思います。

ーhowliveではさまざまなイベントも開催されているんですね。

椎名さん:はい。沖縄は、自然が近い一方で都会もあり、住む環境としてはとてもバランスがとりやすい場所です。でも、住む環境が良くても、はたらく環境が良くないと、安心して長く滞在するには難しいこともありますよね。
そこで私たちは、沖縄ではたらく環境をより良くしていくためのアクションの1つとして、コミュニティ・イベントを開催しています。私たちのコミュニティのイベントは、howliveのメンバーさんのみを対象としたものではなく、ワーケーションや出張でいらっしゃった方も含め、沖縄ではたらいている方は、どなたでもご参加いただけます。日々のお仕事に役立てていただけそうなコンテンツはもちろんのこと、ご自身のキャリアや人生のデザインを考えるときに役立つようなツールやメソッド、考え方、もう少し広い観点で言うと、より良くはたらく上で興味・関心をともにする仲間と出会えるコミュニティをご提供できたら、と思っているんです。イベントやコミュニティを、新しい価値観や情報と偶発的に出会う機会として使っていただきたいと考えています。


「タニモク」実施の経緯

ーでは、「タニモク」のワークショップを実施することになった経緯を聞かせてください。

椎名さん:2022年7月12日から14日の3日間、「howlive Event Week!!!」と題して、参加者の皆さんがより良いはたらき方を探索するヒントとなるイベントを複数行いました。その初日に実施したのが「タニモク」です。

「モクサポ」(「タニモク」でたてた目標をサポートし合う社内のコミュニティ)のコミュニティマネージャーである小松さんとは、以前から知り合いだったんです。小松さんに、コミュニティを育てていく上で、どのような取り組みができるかを相談したところ、「タニモク」を紹介していただきました。内容を聞いて個人的にもおもしろそうだと感じましたし、コワーキングスペースやシェアオフィスと相性が良いプログラムだと感じて、今回実施させていただきました。


実施目的

ー改めて、「タニモク」を実施した目的を聞かせてください。

椎名さん:howliveのメンバーさんかどうかを問わず、新しいはたらきかたに関心がある方々をつなげる活動としてコミュニティを育てはじめたのは、ここ半年ほどになります。その中で、参加者が自ら自己開示をするシーンが少ないと感じていました。自己紹介として「こんな会社でこういう仕事をやっています」という切り口はもちろんあるのですが、よりパーソナルな部分も含めて、お互いの価値観を認識しあうところまで踏み込んでお話しいただく機会をご提供しきれていませんでした。

自ら自己開示を一定程度できる心理的安全性を担保できれば、集まっている方々の相互理解やその先にある親密さ、信頼の構築は自ずと進んでいくと考えているので、その最初のきっかけをどう提供していくか、という点が以前からの課題でした。

現在は、いつもイベントに参加してくださる方もお互いをまだよく知らない、ということがある段階なので、「よくイベントで顔を見るし、おもしろそうな話をしていて気になる人だけれども、自分から話しかけるのは気恥ずかしい」と感じている方も一定数いらっしゃるのではないかと思ったんです。そこで、「いつも見かけるあの人はこんなことを考えているのか」とお互いを知るための自己開示のきっかけとして、イベントと「タニモク」をリンクさせたいと考えました。


実施内容

・グループは3人1組で構成
・タイムテーブルやテーマは通常の「タニモク」と同様

ー具体的な実施内容を教えてください。

椎名さん:沖縄ではたらいている人であれば、どなたでも参加可能とし、年齢や職種といった区分も設けず、オープンに開催しました。会場は店舗内のイベントスペースを使用して、新型コロナウイルス対策として適切な距離を保てるスペースとなるよう、机と椅子をレイアウトしています。

3人1組を1グループとして、3グループで実施しました。

ーオフラインでの開催でしたが、準備などで大変な点はありましたか?

椎名さん:事前準備としては、スライドを映すためのスクリーンとファシリテーターのマイク。それから、ワークショップに使用する紙とペンを用意したくらいです。元々、オフラインのイベント開催に使用している環境がありますので、難しい準備はありませんでした。

今回オフラインで開催したのは、「オンラインで○時からこのURLでやりますので参加してくださいね」よりも、「あそこの場所で○時からやるから来てくださいね」という形の方が、リアルなワークプレイスを持っている私たちとして、より様々な人を巻き込みやすいですし、howliveをお使いいただいている方々や周辺エリアでお仕事をされているも巻き込まれやすいからです。
そうしたコミュニケーションを通じて、例えば「その日は参加できないけど、最近、私の会社でもそのような課題が挙がっていてね」といったように、当日ご参加いただけなかった方も含めて、コミュニティをとりまく関心軸のあり方に触れることができます。その点で、リアルで開催してよかったと思っています。

ータイムテーブルやテーマはどのように設定しましたか?

椎名さん:タイムテーブルは公式「タニモク」と同様にし、テーマも「これからの目標」にしました。アレンジはせず、オーソドックスな形で実施しています。実際の流れは次の通りです。

【タイムテーブル】(合計2時間)
・全体の説明、ファシリテーターの自己紹介(10分)
・グループでの自己紹介(10~15分)
・一人ひとりのワーク(20分×3人)
・全員の目標発表
・終了後は交流の時間

開催時の工夫

ー「タニモク」を開催するにあたって、工夫したことはありますか?

椎名さん:howliveのコミュニティとしての次のステップを想定して、オーソドックスな内容で実施したことです。エリアごと・店舗ごとにメンバーさんの考え方や求めることが違うので、私たちは"拠点ごとに進化させたhowlive流の「タニモク」をつくる"ということを次のステップに置いています。

今回の「タニモク」には、タイムスビル店(那覇)と名護宮里店(名護)のスタッフもオブザーバー的に参加していまして、今後は彼らが拠点の特長にそって進化させた「タニモク」を実施できるよう、まずは基本的なパターンを学びました。


「タニモク」で得られた効果

ー次のステップも構想していただき、嬉しく思います。今回の「タニモク」では、どのような効果がありましたか?

椎名さん:自分のことは自分が一番わかっている、と思いつつも、自身の目標や価値観を言語化するということに取り組む機会は、意外と少ないと思うんです。今回、インタビューをうけて、答えて、という「タニモク」のプロセスを経る中で、「この部分はモヤっとしているな」「この部分は自分自身でもうまく言葉にしきれていないな」「考え抜けていないな」という気付きにつながったとしたら、コミュニティに参加いただいた皆さんにとって有意義な機会になったのではないかと思っています。

加えて、参加された皆さんが「こういう場だからやらなければならない」と強制されるようなスタンスではなく、楽しそうに他の方の目標設定や目標発表をされていたのが非常に印象的でした。
自分の価値観や課題の言語化について、人によっては「あまり触れたくない・考えたくない」という方もいらっしゃると思うのですが、そこが楽しく進むというのが「タニモク」の良いところだと感じました。

それから、同じグループの方同士で「この人はこういうことを考えていたんだ」と理解が進んだことも大きいですね。その場にいる方同士の相互理解が進み、集まっている場所やコミュニティに対して愛着を持ったり、その場で起きることを自分ごと化しやすくなったり、という効果もあるのでは、と感じています。


参加者の声

・私は自分にあまり自信が無くて、悩んでも行動できなかったりするタイプなので、この場を借りてお互いの立場に立って、無責任に大胆に解決策を考えるのは、とてもいいきっかけになりました。周りから見た自分や、解決策ももちろん参考になりますが、相手の立場に立って考えることで、結果的に自分を見直すチャンスにもなりました!

・普段話さないような方に「自分」を開示していき、それに対してまた新しい角度の意見やアドバイスをもらうことってこんなにも楽しくて距離が縮まるんだ!と嬉しびっくりでした。「タニモク」だから出会えるこの気持ちが、もっと多くの人に広まるといいなと感じました。

・「タニモク」に参加して、全く知らない方と自分と異なる価値観を自然と共有することができました。全く知らない他人だと遠慮せずに悩みも言え、全く知らないから簡潔に分かりやすくしようと頭の中で整理してだした言葉が自分が大事にしているものであったり、一番問題としていることであったりと色んなことに気づかされました。また、他人に考えていただいた目標も自分では考えないことだったので、今ではその考えも意識して目標に頑張っています。今後「タニモク」を活用して他の目標も決めてみたいです。

ー参加者の方はどのような印象を持たれたと思いますか?

椎名さん:ご満足いただけたのではないかと思います。初日の「タニモク」に続き、2日目は「珈琲と朝ごはんを食べながら、タスク管理方法を学ぶイベント」を、3日目は「ビジネスピッチ(短時間のビジネスアイデアプレゼンテーション)とネットワーキングの機会を提供するイベント」を行ったのですが、howlive Event Week!!!開催の新聞記事を読んで初めてhowliveに足を運んでくださった方が、3日間皆勤賞だったんです。2日目には、一緒に沖縄に滞在している方も連れてきてくださいました。

私たちも、足を運んでもらえれば満足していただける3日間、という自負はあったのですが、さまざまにご都合がある中で実際に3日間連続で来ていただくというのは、非常にハードルが高いことだと思っています。
1日目の「タニモク」が、ふらっと来ていただいた方でも「おもしろい」とか「得るものがあった」と実感できるプログラムだったからこそ、3日間連続でご参加いただけたのではないかと感じています。


担当者のコメント

ー実施した上で見えてきた課題はありますか?

椎名さん:「タニモク」のように優れた内容のプログラムについて、どのような伝え方をすると、沖縄ではたらく方々が「参加してみたい!」と感じてくださるか、という点です。今回のhowlive Event Week!!!は3日間で3種類の異なるテーマのイベントを組み立てたのですが、「どのような切り口やテーマ設定、内容であれば、その機会を必要としている方にご参加いただけるのか」という点は、今も試行錯誤しています。

私たちが開催するコミュニティ・イベントを、沖縄ではたらいている方々の想いや願い、困りごとにどのようにリンクし、フィットした表現にできるか。単にイベントの参加者が多ければ良い、ということではないので、沖縄らしく、そしてhowliveのコミュニティらしいスタイルを確立したいです。

“「沖縄ではたらく」をより良く”することに繋がるコミュニティとして、私たちが「こうした課題がきっとあるんじゃないか」と仮説立てる想定課題ではなく、リアルな課題に向き合ってイベントを進化させていくことが必要です。その"リアルな課題とコミュニティを通じた解決の循環"が回っていく場づくりが、今後取り組んでいく課題ですね。

ー「タニモク」を活用してさらに実施してみたいことなど、今後の展望をお聞かせください。

椎名さん:今回限りで終わらせるのではなく、「タニモク」を自分達の血肉に変えて継続していこう、というのは最初から意図していることですね。先ほど申し上げた通り、イベントに参加いただいた方がとても楽しそうにされていましたし、私たちも「タニモク」の楽しさを知ってしまったので、その楽しさをより多くの沖縄ではたらく方々に広めることが私たちの使命だと、勝手に背負っています(笑)。

もう1つは、それぞれの店舗で独自の「タニモク」に進化させていき、店舗がある地域の方々にとっても役立つものにしていきたいです。「howliveっておもしろいね」と感じていただければベストなのですが、まずは『あそこでやっている「タニモク」っておもしろいよ』と、それぞれの地域の方々の言の葉に乗って広がっていく。それを通じて新しい方にご参加いただいて、皆さんがそれぞれポジティブな目標をたてて取り組んでいくことができれば、それは私たちのコミュニティの"「沖縄ではたらく」をより良くする"という願いともリンクします。
1人でも「タニモク」に参加したことがある方、やって楽しかった・おもしろかったと感じていただける方が多くなるよう、howlive流の「タニモク」を、コミュニティの取り組みの1つにしていけたらと思っています。

ー次回「タニモク」を開催するとしたら、どの店舗でどのような方を対象に実施したいですか?

椎名さん:例えば、宮古島店と今回開催したタイムスビル店(那覇)など、2・3店舗が同じ時期に開催するようにしたいですね。その先で、全店舗で同時開催したいと思っています。それぞれの店舗で「タニモク」を開催した結果を、拠点を越えてオンラインで見ることができると、多店舗展開しているhowliveのコミュニティならではのスタイルが作れると考えています。

同じプログラムを個性が違う店舗で展開すれば、当然それぞれに違う反応が返ってきます。
その違い自体が参加されているメンバーさんにポジティブに作用する、というのが、コミュニティ目線で捉えた際の多店舗展開の意味でありメリットだと考えているので、そうした個性がより際立つ形で開催できればと思います。


「タニモク」編集部より

お話の端々から、椎名さんの沖縄ではたらく方々に対する熱い想いが伝わってきました。「タニモク」が、1人でも沖縄ではたらく方々のお役に立てると嬉しいです。
今回の「タニモク」は、今後を意識してオーソドックスな内容にされたとのこと。howlive流の「タニモク」として、今後どのような形に進化していくのか、私たちもとても楽しみにしています。
椎名さん、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

howliveのコミュニティのnoteに、今回の「タニモク」のイベントレポートを掲載していただきました。ぜひご覧ください!


「タニモク」の台本や映写資料は、公式ホームページよりすべて無料でダウンロードできます。
友人同士や組織で「タニモク」を実施したいという方は、マニュアルをチェックしてみてください。
実際に「タニモク」を体験した後は、「#タニモク」をつけて感想を発信していただけたら嬉しいです。みなさんの投稿も楽しみにしています!